江口洋介、“暴走族”から“参議院選の啓発キャラ”へ 更新し続けてきたイメージを振り返る

江口洋介、暴走族から選挙啓発キャラへの変化

  俳優としての印象が強い江口だが、実はシンガーソングライターとしての顔も持つ。ミュージシャンデビュー35周年を迎えた2023年、25年ぶりの新曲をリリースし、11月には東京、大阪でライブ活動も行うなど、そのフットワークは軽い。

 江口は「ここ最近は、仕事もフットワークを軽くしているんです。俳優として求められたらぼくがやる意味を自問する前にまず飛び込んだり、芝居を離れて音楽アルバムを制作したり。個々の経験が節目となって次の流れを生み、また今回のような骨太な作品(『誰かがこの町で』)に挑みたい欲もわきました」と語っている(※2)。

 作品の中の“重し”的ポジションで存在感を放つ一方、色褪せない“軽やかさ”や“爽やかさ”が感じられるのは、単に20代からの体型を維持し続けているということだけではない。意図的に活動ジャンルの振り幅を大きくすることで、“ベテラン”という響きとは対極にある“身軽さ”という強みまでも手に入れたのだ。

 そんな江口は、近年では刑事役としての出演が目立つ。『BG 身辺警護人』(2018年/テレビ朝日系)では木村拓哉演じる警備会社のBGに敵対する警視庁の警護役を演じ、『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(2023年/フジテレビ系)では、二宮和也演じる逃亡犯を追う警視役として出演。いずれも熱量の高いキャラクターであり、江口が演じることでドラマのサブストーリーに重厚感が加わっていた。

 そして7月1日よりスタートした『誘拐の日』(テレビ朝日系)では、誘拐犯・新庄政宗(斎藤工)を追う所轄のベテラン刑事・須之内司役として出演。捜査一課に刃向かう豪快さがありつつ、小さな“違和感”を見逃さず被疑者の行動からその真意を汲もうとする繊細さを持つ須之内。そこには江口が演じるからこその“優しさ”が立ち上がっており、その表現の幅において“剛”と“柔”を併せ持つ稀有な俳優であるといえよう。

 “頼れる大人の男”であり、かつ“軽やかさ”までもまとう江口は、時代とともに “成熟”のありようを更新し続けてきた。だからこそ幅広い年代から親しまれ、啓発キャラクターとして「政治を自分ごとに」と呼びかける力は大いに期待できる。

参照
※1. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000029049.html
※2. https://j7p.jp/?p=126821

『誘拐の日』の画像

誘拐の日

韓国のスタジオ・ASTORYが2023年に製作した連続ドラマを原作としたヒューマンミステリー。心やさしきマヌケな誘拐犯と記憶喪失の天才少女が異色タッグを結成し、次々と襲いかかる危機を乗りこえながら犯人捜し&逃亡劇を繰り広げる。

■放送情報
『誘拐の日』
テレビ朝日系にて、毎週金曜21:00〜21:54放送
出演:斎藤工、永尾柚乃、深澤辰哉、江口洋介、内田有紀、安達祐実、鈴木浩介、長谷川初範、望海風斗、佐藤寛太
原作:『誘拐の日』©ASTORY & KT Studiogenie/脚本 キム・ジェヨン
脚本:丑尾健太郎
監督:深川栄洋、片山修
音楽:長岡成貢
主題歌:yama「us」
ゼネラルプロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)
プロデューサー:峰島あゆみ(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ) 
制作協力:アズバーズ
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/yuukainohi/
公式X(旧Twitter):https://x.com/yuukainohi_ex
公式Instagram:https://www.instagram.com/yuukainohi_ex/
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