『あんぱん』“ヤムおんちゃん”阿部サダヲの姿に重なる ジャムおじさんが“パンを焼く理由”

『あんぱん』草吉とジャムおじさんが重なる

 その一方、『あんぱん』のヤムおんちゃんは、陸軍に乾パン作りを命じられた際、「焼きたくない」と拒否。その理由は、パン修業のためにカナダに渡っていたが、日本人義勇兵として英軍に加わり戦うことになってしまったことが深く関係していた。仲間が次々に死んでいくなか、ヤムおんちゃんは死んだ仲間の持ち物を漁り、そこに入っていた乾パンを食べて生き延びたのだった。

 登場時から戦争を嫌う発言が目立ったヤムおんちゃんにすれば、乾パンは“トラウマの元凶”。「焼きたくない」と言って当然なのだが、そのせいで朝田家が村八分状態に。しかし、婦人会の企てで朝田家に乾パンの食材が運び込まれ、ヤムおんちゃんは仕方なく乾パンを作ることに。無事、軍に乾パンを納めることができたのだが、その翌朝、ヤムおんちゃんは姿を消した。

『あんぱん』阿部サダヲと竹野内豊は“良心”の象徴だった 「絶望の隣は絶望の2丁目」の重み

朝ドラことNHK連続テレビ小説『あんぱん』第9週「絶望の隣は希望」(演出:野口雄大)では、のぶ(今田美桜)が若松次郎(中島歩)と…

 その出来事があったのは第45話で、今回、約2カ月ぶりに再登場。亡くなった釜次(吉田鋼太郎)の葬儀に出席するため、ヤムおんちゃんは6年ぶりに朝田家へと帰って来た。またあんぱんが食べたいと言うのぶ(今田美桜)たちのために代替する材料をそろえ、あんぱんを振舞ったのだ。

 これもすべて釜次の弔いのため、そして朝田家の笑顔のため。象徴的なものとして、のぶが幼い頃にヤムおんちゃんに対して「ヤムおんちゃんのあんぱんは、悲しい人を元気にして、笑顔にする力があるき」と言ったことがある。大切なものを失い、悲しみに暮れる人々にパンを差し出す姿は、まさにジャムおじさんの姿と重なる。

 「パンの焼き方を忘れた」「酒種も失った」などと言いながら、わざわざ代替する材料をそろえてまでパンを焼いたのだから、今後、朝田家に戻って来て、みんなの笑顔のためにパンを作り続けてほしいと願ってしまう。

参照
https://www.ntv.co.jp/anpanman/articles/128hb9663nxff9jug66.html

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、妻夫木聡、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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