林遣都、多様な役を経て滲む存在感 『明日はもっと、いい日になる』総介役で新境地を更新

林遣都、多様な役を経た2025年現在の到達点

 その他、近年はドラマ『初恋の悪魔』(日本テレビ系)などでもメインキャラクターを演じてきた林だが、彼の作品を観る中で、その存在感はサブキャラクターでも光るということがよくわかった。物語のアクセントとなって、面白さを引き立てる役柄として記憶に残るのだ。

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 東日本大震災とその後の東北に生きる人々を描いた映画『護られなかった者たちへ』では、震災後10年の宮城県で続く不可解な殺人事件を追う刑事・蓮田を演じた林。寡黙な先輩刑事・笘篠(阿部寛)に最初は文句ばかり言っていたものの、次第に彼の考えに共感するようになる彼は、捜査を進展させるための力となると同時に、サブストーリーとして大きな価値があった。

 海外映画のような規模と豪華俳優陣の出演で話題となったドラマ『VIVANT』(TBS系)では、役所広司扮するテロ組織“テント”のリーダーであるノゴーン・ベキの若き時代を演じ、多くの視聴者をさらに深い物語の世界へ引き込んだことも記憶に新しい。主に登場するのは物語の終盤ではあるが、ベキがどれほど壮絶な人生を辿ってきたのかが明かされる重要な場面。異国の地での苦しみが力強く表現されており、観ている者にも肩に力が入るような場面であった。

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 また、少し遡ってみると『悪の教典』にも出演していたことを思い出す。林が演じたのは、美術教師の久米と不適切な関係を持つ生徒の雅彦。物語終盤に蓮見(伊藤英明)と対峙するシーンはあっけないが、最後までもがこうとする姿は脳裏に刻まれるに違いない。筆者は『悪の教典』を最後に観てから何年も経っているが、このシーンはよく覚えている。

 そんな様々な役柄を演じてきた林だが、最新作『明日はもっと、いい日になる』は意外にも初の月9作品。林自身も子育て中だからこそ共感する部分が多くあった(※)とコメントでも語っているように、日々子どもと向き合う立場としての感情が、役柄にも滲み出ているように思えた。今までとは異なるキャラクター像もそうだが、家族を描く物語に挑む今の林だからこそ、また一味違う“林遣都像”を感じたのかもしれない。

 第1話で一時保護所の南野(柳葉敏郎)が「彼女(翼)、昔のおまえに似てるな」と総介に話しかけていたように、いがみ合いながらもどこか似ている雰囲気を持つ総介と翼のコンビネーションが物語のカギとなっていくだろう。様々な事情やすれ違いを抱える家庭の物語は、決して他人事ではない。凸凹バディを中心に、この物語が教えてくれる様々な家族の形をしっかりと見届けたい。

参照
※ https://www.fujitv.co.jp/ashitawamotto/introduction/index.html

『明日はもっと、いい日になる』の画像

明日はもっと、いい日になる

児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。

■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ashitawamotto/
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