マチュやハサウェイだけじゃない! 『ガンダム』シリーズの“親不孝”主人公列伝

2025年4月から6月にかけて放送されたTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)では、主人公・マチュの言動が「親不孝すぎる」と大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。しかし実は“親不孝主人公”の存在は、『ガンダム』シリーズの伝統とも言える。
先日シリーズ最新作の公開が決定した『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』も含めて、過去作にどんな主人公がいたのか振り返ってみたい。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』マチュ
まずは最新の親不孝主人公、『ジークアクス』のマチュことアマテ・ユズリハから紹介しよう。
マチュはスペース・コロニーで平凡な暮らしを送っていた女子高生。母親のタマキ・ユズリハはサイド6の監査局職員を務めており、それなりに恵まれた環境で育ったようで、塾通いもさせられている。
しかし第1話冒頭で「コロニー生まれの私たちは本物の重力も本物の空も知らない」というモノローグがあるように、現在の生活にどこかフラストレーションを感じており、進路希望票に「クラゲ」と書いて母に叱られるという場面もあった。
それだけなら珍しくもない思春期の悩みだが、謎のモビルスーツ「ジークアクス」との出会いがマチュの運命を一変させる。非合法な「クランバトル」に参加するようになった上、テロ容疑で軍警から追われる身になってしまうのだ。さらには単身で地球に降下し、世界の命運を左右する戦いへと巻き込まれていく……。
大切に育ててきた娘がある日突然お尋ね者になり、その行方すら分からなくなってしまったタマキの心労は、想像することすら難しい。
なお放送が始まった当初、SNS上では「タマキは娘としっかり向き合っていない毒親ではないか」という論争が起きたが、マチュがあまりにも規格外の行動を連発したためか、いつの間にか沈静化していった。最終回では、マチュからの連絡に涙するタマキと、彼女のスマホの待受画面に映し出されたマチュとの写真が描かれている。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ハサウェイ
『ガンダム』シリーズを代表する親不孝者といえば、『閃光のハサウェイ』の主人公、ハサウェイ・ノアだ。
同作は第二次ネオ・ジオン戦争から12年後、地球連邦の腐敗が進んだ世界が舞台。そんな世界の仕組みを変えるため、反地球連邦組織「マフティー」が連邦政府高官の暗殺を目論んでいるという設定だ。
ハサウェイは世間的には植物監視官という立場だが、その正体は「マフティー」のリーダーを務めているマフティー・ナビーユ・エリンであり、過激派のテロリストとして活動している。
そしてハサウェイの父親は一年戦争でアムロたちを率いたホワイトベースの艦長、ブライト・ノア。すなわち地球連邦を救った英雄の息子が、地球連邦の暴力的な改革を目指すという皮肉な状況に陥っている。当然、ブライトはハサウェイが何をやっているのか把握していない。
またハサウェイの親不孝要素としては、“味方殺し”という過去も挙げられる。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、戦闘中に激高した結果、地球連邦の女性士官チェーン・アギを射殺しているのだ。
ちなみに『機動戦士ガンダムZZ』の第12話では、ブライトが「最近の子どもはどうしてこうワガママなんだ」「ウチの子はもっと素直だった」とぼやく場面があった。今振り返ると、ブライトとハサウェイの心が通じていなかったことを示唆する言葉のようで、なんとも切ない。




















