『大追跡』“切れ者・名波”相葉雅紀が示す新たな刑事ドラマ像 “SSBC”の現代性に期待大

大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒がトリプル主演を務める水9ドラマ『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)が、7月9日よりスタートした。
『相棒』『特捜9』『刑事7人』など、数々の人気刑事ドラマを放送してきた「水曜よる9時枠」の“新たな歴史”として10年ぶりに始まった新作刑事ドラマの『大追跡』。王道の刑事ドラマでありながら、「SSBC=捜査支援分析センター」を舞台にした最新の捜査要素を題材にした作品にもなっている。
7月9日に開かれた、主演3人が登壇した囲み取材にて用意されたパネルには、「SSBCから、逃げ切れると思うなよ」(伊垣修二/大森南朋)、「SSBCだってデカでしょう?」(名波凛太郎/相葉雅紀)、「SSBCが、勝手なことしないで」(青柳遥/松下奈緒)とそれぞれが第1話で放つ名台詞が書かれていた。共通しているのは、SSBCというワード。本作を語る上で、まずはSSBCとは何たるかを知るのが大前提となっている。

SSBCとは、2009年に警視庁に新設された、分析・追跡捜査の専門部隊。初動捜査で犯人の足取りを追うための防犯カメラ映像の収集や分析、スマートフォン、パソコンの解析、犯人像のプロファイリングなどを担う“現代捜査のキーマン”とも言うべき最先端のプロフェッショナル集団だ。SSBCの中に新設された、殺人・強盗・放火などの凶悪犯罪を担当する捜査一課を専門に支援する別班が、SSBC強行犯係。そこにキャリア組として出向してくる名波をいわゆるガイド役にして、SSBCの捜査方法とそのメンバー、青柳が主任を務める捜査一課との上下関係を説明していくのが第1話と言っていいだろう。
犯人が事件現場に来るまでの足取りの「前足」、事件後の逃走経路「後足」といった警察用語を用いながら、第1話では防犯カメラ、通称“防カメ”の映像をリレーして、殺人犯を追っていく。軽井沢を舞台に、伊垣が車内でハンドルを握りながらつぶやくのが、本作のキャッチコピーにもなっている「逃げ切れると思うなよ」という『大追跡』を象徴する名台詞だ。

その助手席に乗っているのが名波。将来は警察官僚になることが約束されているキャリア組であり、内閣官房長官・久世俊介(佐藤浩市)の甥っ子ということで、捜査一課すらも頭があがらない、特異なポジションにいる。ただ、名波は親の七光りに終わらず、“デカ”=刑事として積極的に現場での身体的な捜査に乗り出していく。犯人を目の前にしての「責任は僕が取ります。悪い奴を捕まえるために転職したんですよ、僕は」というセリフが象徴的で、師弟関係を組む伊垣とのバディとして初の現場捜査に挑む。いわゆる初のアクションシーンでもあるが、名波は犯人を制止できず、殴られた上に、大事なメガネにはヒビが。さらに捜査一課よりも先に容疑者に接触したことでSSBCは責められることになるが、名波の鶴の一声で“緊急事態”ということであっと言う間になかったことになる。この絶妙な三竦み(名波が苦手とするものはないが)の関係性が、刑事ドラマの中にエンタメとしてのユーモアをもたらしているように思う。





















