『親友かよ』メインキャストのトニー&ジャンプにインタビュー 役作りや撮影秘話を明かす

高校時代の絆と青春の痛みを瑞々しく描いたタイ映画『親友かよ』が映画ファンの間で話題になっている。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』や『ハッピー・オールド・イヤー』、『女神の継承』などを生み出してきたタイの映画会社「GDH 559」が製作を務め、『バッド·ジーニアス 危険な天才たち』のバズ・プーンピリヤ監督が映画初プロデュースを手がけた本作。『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』のアンソニー・ブイサレート(トニー)とティティヤー・ジラポーンシン(バイポー)が再共演を果たしたことでも話題だ。
そんなトニーが本作で演じたのは、大学入学のために、不慮の事故で亡くなってしまったジョーの“親友”だと嘘をつき、彼のエッセイを利用して短編映画を制作しコンテストの入賞を狙う高校3年生のペー。不慮の事故で亡くなってしまう“ある秘密”を抱えたジョーを、本作が長編映画デビューとなったピシットポン・エークポンピシット(ジャンプ)が演じている。
そんな“親友”役を演じたトニーとジャンプの2人にインタビュー。本作が長編映画デビュー作となったアッター・ヘムワディー監督との撮影秘話や、2人の高校時代の記憶、それぞれの“好きな映画”について話を聞いた。
『親友かよ』の撮影ではアドリブも
ーーとても独創的な物語でした。2人はこの脚本のどのようなところに惹かれましたか?
アンソニー・ブイサレート(以下、トニー):友情と友達との関係性が丁寧に描かれているところに惹かれました。アッター監督の脚本を読んで、情熱をすごく感じたんです。監督と話を重ねる中で、どんどん新しいアイデアも生まれました。それも含めて、とても魅力的だと思いました。
ピシットポン・エークポンピシット(以下、ジャンプ):僕もトニーと同じく、友達との関係が一番の魅力だと思いました。高校時代の友情って、すごく濃くて、脆いところもある。だからこそ多くの人が共感できるし、僕自身も高校時代の思い出がフラッシュバックしてきたんです。
ーー撮影現場では、セリフの変更やアドリブもあったそうですね。
トニー:特に覚えているのは、講堂でペーが中指を立てて叫ぶシーンです。ワークショップの段階から準備はしていたのですが、ペーらしい仕草として、中指を立てるアイデアを監督に提案したら、採用してくれました。現場ではアドリブも多く、監督が僕たちの意見をよく聞いてくれたのが印象的でした。
ジャンプ:僕はアドリブが得意ではないのですが、監督がとてもオープンな方で、「一回やってみて」と言ってくれるんです。ボーケー(ティティヤー・ジラポーンシン)が本でジョーの頭を叩くシーンでは、叩かれ続けるのはおもしろくないなと思ってよけてみたら、それが採用されました。自由な空気の現場でしたね。
ーー最初にキャスティングが決まったのはジャンプさんだったそうですね。
ジャンプ:オーディションで決まったのですが、最初は通るか通らないかはわからないけれども、とにかくオーディションに出られるだけですごく嬉しくて、オーディションには全力で挑みました。その後、僕のマネージャー経由でGDHから連絡が受かったという連絡があって、もう本当にワクワクしました。ずっとGDHの映画のファンだったので、夢が叶う瞬間でした。ジョーのキャラクターにもすごく共感できて、自分の高校時代と重なる部分も多かったです。
ーー具体的にジョーのどのようなところに共感しましたか?
ジャンプ:友人との関係性ですね。僕は高校時代、友達と24時間一緒にいるような生活をしていて、友情が財産のようなものでした。ジョーは友達に夢を叶えてほしいと思っているところがあって、そこは自分と似ているなと思いました。
ーートニーさんは『ふたごのユーとミー』から続けてGDH作品に出演することになりましたね。
トニー:正直、自分がまたGDHの作品に出られるとは思っていませんでした。『ふたごのユーとミー』のあとに、マネージャーと次はどのGDH作品のオーディションを受けようかという話もしていたのですが、続けてGDH作品に出演するのは難しいと思っていたんです。なので、決まったときは信じられなかったですし、本当にラッキーだと思いました。
ーーボーケー役のバイポー(ティティヤー・ジラポーンシン)さんとは短いスパンでの再共演になりました。
トニー:僕とバイポーにとっては、とても難しい状況だったと思います。なぜかというと、2本連続で同じような役柄でメインキャストとして再共演することになったからです。ただ、僕たちは0から一緒に演技を始めたので、お互いにすごくやりやすかった。なので、バイポーがボーケー役でなかったら、僕のトニー役も成立しなかったと思っています。
ーーペーというキャラクターに共感した部分はありましたか?
トニー:たくさんありました(笑)。ペーは怠け者で、何か目標ができたり、指示をされることによって、初めて動くんです。僕も似たような状況なら同じ行動をすると思います。それと、最初は誰も愛さないけれど、仲間と過ごす中で友情や信頼を知っていくところにも共感できました。 例えば、ぺーは短編映画を一緒に撮るチームのことを、最初から信用していたわけではありません。ペー自身は、最初は誰のことも愛していなくて、とりあえず自分がなんとかなればいいという、自分を愛する気持ちしかなかったと思うんですよね。だけど、映画制作のプロセスにおいて、友達を愛するようになるし、信用するようになる。自分は1人じゃないということに気づいていくんです。そこはすごく理解できる部分でした。