内田有紀の“別人級”の振れ幅に驚嘆 『最後から二番目の恋』『ドクターX』で光る表現力

内田有紀の“別人級”の振れ幅に驚嘆

 『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)はタイトルにもある通り、恋がひとつのテーマとなっている。ついつい恋とは好きな人と付き合って、デートをして、最終的には結婚に繋がるもの、と考えてしまうが、実は恋の形や「好き」の表現にもいろいろな形がある。そんな中、内田有紀演じる万理子の「私と仕事、どっちが大事なの!?」というお決まりのセリフに象徴されるように、恋の“敵”のように扱われる仕事でさえ、恋を昇華させる存在になりうることを教えてくれたのが、内田有紀演じる万理子だ。

 万理子は、長倉家の次女で、真平(坂口憲二)の双子の姉だ。6月9日に放送された第9話では、病気が完治した真平とともに山登りに行き、微笑ましくも心強い2人の不思議な絆が描かれた。万理子は極度の人見知りで、人の何気ない言葉に深く傷ついてしまう繊細さを持つ一方で、お茶目かつ観察力が鋭い一面もある。千明(小泉今日子)にその個性を買われ、現在は千明専属の脚本家をしている。そして万理子は千明の存在そのものに恋をしていた。

『劇場版ドクターX』©2024「劇場版ドクターX」製作委員会

 好きな人のそばで、その人に認められ大切にされながら仕事をする万理子は、特に千明の新しいプロジェクトが始まってから幸せそうだ。仕事だけではなく、生きていることさえ楽しんでいることが全身から伝わってくる。そして、恋は人を美しくするもの。第9話では、長倉家の面々と千明がカフェ・ナガクラに集い、たこ焼きパーティーをしようとする場面があるのだが、千明は万理子とタッチをして挨拶した後、さらに万理子のふわふわの頭を撫で、肩に手を置いていた。その仕草はまるでぬいぐるみをかわいがるようだったのだが、万理子の場合は、恋が彼女の魅力であるマスコット的なかわいさを倍増させている。

『続・続・最後から二番目の恋』©︎フジテレビ

 万理子を演じている内田の近年の代表作といえば、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズ(テレビ朝日系)の凄腕の麻酔科医・城之内博美役。城之内は未知子(米倉涼子)が手術の際に指名する相棒的存在で、シリーズを重ねるごとに外科医と麻酔科医の関係を超えた深い絆を築いていく。クールで未知子にも物怖じせずにはっきりと意見を伝える城之内の姿が内田のイメージとなっている人も多いのではないだろうか。筆者はこれまでの『最後から二番目の恋』シリーズを観てこなかったので、万理子と城之内を同じ人物が演じているということを知った時は驚いた。いつでもシャキッと立って、スタスタと早足で歩いて行ってしまいそうな城之内と、いつもどこかもじもじしていて、イスに座っていても内股になっている万理子。よく見ると2人の真逆の性格と雰囲気を表現するために、内田が仕草や佇まいのような細部にまで気を配っていることが感じられる。

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