『呪術廻戦 0』『Fate/Zero』『ベルセルク』 本編超え(?)の過去編がすごいアニメ4選

『呪術廻戦』など過去編がすごいアニメ4選

 アニメでは時折、本編より前の時系列を扱った前日譚や過去編が描かれることがある。登場人物たちのバックボーンが深く掘り下げられるため、作中で重要な位置付けを占めることが多いが、なかには「本編より面白い」と評判を呼ぶエピソードも……。

 そこで今回はとりわけ人気が高いアニメの過去編をいくつかピックアップし、紹介していきたい。なお、それぞれ話の内容に踏み込んで説明するので、多少のネタバレがあることを先に断っておく。

友情・努力・勝利の王道展開! 『劇場版 呪術廻戦 0』

 まずは鉄板の過去編として、『劇場版 呪術廻戦 0』を挙げておこう。同作は人気アニメ『呪術廻戦』の前日譚にあたり、時系列としては本編が始まる約1年前、虎杖悠仁が呪術高専に入学してくる前の出来事が描かれている。

 主人公は幼い頃に亡くなった幼なじみ・祈本里香に呪われているという乙骨憂太。五条悟の誘いを受けて呪術師の世界に入った乙骨は、自らの力で“解呪”を行うことを決意する。しかしそんな矢先、最悪の呪詛師・夏油傑による呪術テロ事件「百鬼夜行」が始まり、死闘に巻き込まれていく。

 人と交わることを拒んでいた少年が、仲間との出会いによって生きる希望を見出し、それを力に変えて巨悪と対決する……。少年マンガの王道を行く展開で、『週刊少年ジャンプ』のスローガンとよく言われる“友情・努力・勝利”を最短距離で駆け抜けていくような爽快感がある。

 付け加えて言えば、『呪術廻戦』の序盤で描かれる過去編「懐玉・玉折」も本編を凌駕するほどの人気を誇る。五条悟の学生時代を描いたストーリーで、夏油傑との友情と決別、伏黒甚爾との死闘など、見どころが盛りだくさん。さわやかで切ない青春の物語であり、「現代最強の呪術師が誕生するまで」というドラマチックな物語としても楽しめる。

 なお、5月30日より劇場版総集編『呪術廻戦 懐玉・玉折』が公開予定で、TVerでは5月30日11時59分まで『劇場版 呪術廻戦 0』の無料配信が実施されている。

虚淵玄のダークな作風が全開! 『Fate/Zero』

 『Fate/stay night』の前日譚として、熱狂的な人気を誇るのが2011年と2012年に全2クールで放送された『Fate/Zero』だ。

 同作は元々スピンオフという扱いで、『Fate/stay night』の原作者・奈須きのこではなく、虚淵玄が書いた小説が原作となっている。虚淵といえば『PSYCHO-PASS サイコパス』や『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本として知られており、登場人物を容赦なく追い詰めるハードな展開に定評がある。その作風は同作でも存分に発揮されており、多くの視聴者に衝撃を与えた。

本編から約10年前に起きた「第四次聖杯戦争」の模様を描いたストーリーで、あらゆる奇跡を実現する「聖杯」を手に入れるため、7人の魔術師がそれぞれ英霊(サーヴァント)を召喚し、血で血を洗う激闘を繰り広げていく。

 『stay night』シリーズの主人公・衛宮士郎の育て親である衛宮切嗣が主人公となっており、セイバーをサーヴァントとして戦う。驚くべきはその戦闘方法だ。勝利のためなら一切手段を選ばない徹底的な合理主義者で、銃や爆弾の類を平然と使用。そして正面から正々堂々と戦おうとせず、相手の家族を人質にとったり、騙し討ちしたりと、主人公とは思えないような戦い方を見せる。

 その一方で、ほかのマスターとサーヴァントも個性派揃い。生意気な青二才のウェイバーと王の風格を漂わせたライダー、連続殺人鬼の雨生龍之介と狂気でシンクロするキャスター、壮絶な運命を背負った間桐雁夜と圧倒的な力をもつバーサーカーなど……。7組のキャラクターが誰一人として“モブ”にならないのが凄みだ。

 迫力に満ちたバトロワ展開と、観る者を絶望させるハードな物語の両方を楽しめる稀有な名作アニメと言える。

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