三戸なつめは今何を思う? “前髪の人”としての喜びと役者として目指すべき場所を明かす

三戸なつめが明かす“前髪の人”としての喜び

 2015年、デビューシングル「前髪を切りすぎた」で、一世風靡をした三戸なつめ。

 彼女のキャリアに迫ってみると、2010年から読者モデルとして活躍し、その後、アソビシステムに所属するべく上京。近年は、俳優としての活躍も目覚ましく、2020年度後期のNHK連続テレビ小説『おちょやん』に出演。主人公・千代(毎田暖乃/杉咲花)の亡くなった母・サエとして、新たな顔を見せた。

 そんな三戸がドラマストリーム『三人夫婦』(TBS系)にて、主人公・美愛(朝倉あき)の親友で、従来の結婚観にとらわれず、同性の恋人と公正証書を提出し、結婚式を挙げた西本有希を演じる。

 多様化する結婚観、だからこそ知識や理解が必要となってくるこの役を、三戸はどのように解釈したのか。また、「気づいたら、読者モデルになっていた……」という三戸に、役者としてのこれまで、そしてこれからについて話を聞いた。(於ありさ)【インタビューの最後にはサイン入りチェキプレゼント企画あり】

ひとりひとりのキャラクターが立っている『三人夫婦』

ーー『三人夫婦』は最初に話を聞いたときはどんな印象を受けましたか?

三戸なつめ(以下、三戸):率直に嬉しかったです。それから『三人夫婦』というタイトルから内容の想像がつかなくて、どんな話になっていくんだろうなと。企画書の段階で、物語の続きがとても気になりました。一方で、私が演じる有希という役については、最初は難しそうと思いました。同性婚について聞くことはあっても、法律上どういう手続きになるのかは全く知りませんでしたから。冒頭で、公正証書を提出し、結婚式を挙げるということを聞いたときに、もしかして「難しい話なのかな?」とも思いました。実際にはそうではなかったですけど。

ーーすでに序盤の何話かは拝見させていただいたのですが、非常にかわいらしく、良い意味で気構えせず観ることができるドラマだなと感じました。

三戸:そうですね。私も仕上がりを見させていただいたときに、ひとりひとりのキャラクターが立っていたので「あ、意外と難しくないのかも!」と思ったのを覚えています。もちろん同性婚、そして三人夫婦についての知識は必要です。例えば、もし3人で結婚するとして、後々「子どもを迎え入れる」としたら法律的にはどうなるのか……とかも。ただ、それを超えてでも叶えたいという思いがある人による、前向きな話だなと思いました。

『三人夫婦』©「三人夫婦」製作委員会

ーー公式サイトでは有希について、親友の美愛にきっかけをあたえるような役だと紹介されています。有希の印象について、またどのように役を解釈したかについても教えてください。

三戸:私とは違う生き方ですから「どんな感じなんやろ?」というのは最初あったのですが、自分の中で同性婚、三人夫婦っていうものに対して重くなりすぎずに振る舞いたいなと感じました。なので、「もしも美愛ちゃんが地元の親友で、その子から相談を受けたらどう返すかな」と、自分の体験に置き換えるように役作りをしていきました。

ーー美愛を演じる朝倉あきさんとの撮影はいかがでしょうか?

三戸:とてもかわいらしく美愛を演じてくださっているなと感じました。お芝居をしていく中での方向性としても一緒で。とても自然体でお芝居できたなと思っています。「きっと友達同士だったらこうだよな」と思えるような空気感、女子同士のトークを意識したので、注目してほしいです。

『三人夫婦』©「三人夫婦」製作委員会

ーー「もし地元の友達だったら」や「友達としゃべる」などの発言から、三戸さんは役を自分ゴトとして置き換えるタイプなんだなと感じました。以前からそうなのでしょうか?

三戸:そうですね。私自身、器用ではないので、どんな役だとしても、一度自分に置き換えないと、しゃべりながら「私、何言ってるんだ?」「今私、思考停止しているな」と思ってしまって、それがしっかりと顔に出てしまうんです。なので、自分の中で身近な人に置き換えて練習するようにしています。あまりにも自分とかけ離れている役、過去で言うと幽霊や刑事の役を演じたときは、自分自身を作っていくのが大変でした。

「気づいたら読者モデルになっていた」

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ーー三戸さんといえば、モデル、俳優、歌手と幅広く活躍している印象です。あらためて、芸能界入りのきっかけはなんだったのでしょうか?

三戸:最初は、専門学校の帰り道に梅田をウロウロしてたら、当時『関西girl's style』という雑誌の編集さんに話しかけられて。そこから定期的に呼ばれるようになって、気づいたら読者モデルになっていました。

ーーそうなんですか!

三戸:読者モデルって「じゃあ、あなたは今日から読者モデルです!」って言われるわけではないので。何回か呼ばれるうちに「これは、読モと言っていいのではないか……?」と思って、「自分は読者モデルだ」と認識するようになるんです。

ーーなるほど。もともと幼少期から芸能界に入りたいとは思っていたんですか?

三戸:小学生のころはモーニング娘。がめっちゃ大好きだったので、「アイドルになりたいな」とは思っていました。ただ、特にオーディションを受けようとの意欲はなく、憧れだけでした。洋服とデザインや絵を描くことが好きだったので「将来は古着屋さんで働きたいな」と思って専門学校に進学しました。

ーー古着屋さんを目指していたタイミングで、モデルとして声をかけられることに抵抗はなかったのでしょうか?

三戸:なかったですね。私自身、めちゃくちゃ読んでいた雑誌で、よく自分流にコラージュしていたりしたので、「え!? いいんですか? ぜひぜひ!」と前のめりでした。ただただ憧れていた雑誌だったので、本当に嬉しかったのを覚えています。

上京、俳優デビュー……とにかくワクワクする方向へ

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ーーそこから上京し、本格的に俳優・歌手としても活躍するわけですが、「上京しよう」と思ったのはなぜですか?

三戸:アソビシステムの先輩でもあり、もともと読モだった先輩が、ドラマで活躍している姿を見て「読者モデルでも、いろんな道に行けるんだ! 私もやってみたいかも」と思ったんです。そのタイミングで今のアソビシステムの社長から「芸能界に興味があるなら、うちに来る?」と言われて「行きたい!」と。芸能の世界に飛び込んでみたいなっていうワクワク感が強かったですし、「1人暮らしできるぜ! 東京だ!」と前向きで。不安はなかったです。

ーー未経験のお芝居をやることに対しても、そこまで抵抗はなく?

三戸:ちょっと不安でした。でも、事務所がレッスンを受けさせてくれたり、気持ち的にもフォローしてくれていたりしたので、不安を払拭しながら前に進んでいけました。不安なことを聞ける環境だったこと、演技レッスンの先生をはじめとするいい人たちに出会えたことが大きかったのかなと思います。

ーーそこから俳優のお仕事をやってみて、コンスタントに出演作を重ねて行ったのは、俳優というお仕事のどんなところが楽しかったからなんでしょうか?

三戸:役のことを深く理解していく作業、「この役は、私が演じるまで、どういう人生があったんだろう」と考えるのが、すごく楽しかったのを覚えています。それから、頭で考えているものと、自分が体や声で表現するものが一致した時の「これだー!」という感覚がクセになって、とにかく楽しいんですよね。

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