中国では1兆円規模 急成長中のショートドラマ市場におけるOne Acreの独自戦略とは?

ショートドラマ市場におけるOne Acreの独自戦略

 ミステリーショートドラマ『ダウトコール 〜あなた、浮気されてますよ〜』の試写会&取材会が、3月21日にユナイテッド・シネマアクアシティお台場にて開催された。

 本ドラマは、広告代理店事業を手がける株式会社One Acreがショートドラマ事業を強化するために立ち上げた新会社、株式会社One Acre Short Drama(以下、OASD)が制作したもの。『ダウトコール 〜あなた、浮気されてますよ〜』はその第1弾となる作品だ。

 取材会には俳優のやべきょうすけが司会として登場し、さらに本作の監督であり同社代表取締役の金子光三朗、キャストの清水麻璃亜、木村葉月、安田直人が登壇した。

爆発的な成長を見せるショートドラマ市場

(左から)やべきょうすけ、金子光三朗、木村葉月、清水麻璃亜、安田直人(提供=One Acre Short Drama)

 ショートドラマは近年多く制作されており、日本国内でも一段と盛り上がってきている。そこで試写会に入る前に、この分野における最前線で活躍し、本作の制作総指揮を務めたOASDの金子が、ショートドラマ市場の現状や今後の可能性についてプレゼンした。

 金子は、One Acre制作のショートドラマがこれまでに3本あることを紹介。「私たちOne Acre制作のショートドラマは3本あります。そのほか、広告でショートドラマを流しており、スシローさんと実施したときのもの、またWolt Japanさんと制作したものがあります。さらにココグルメさんというドッグフードの企業と制作したショートドラマでも成果が出ております」と述べた。

金子光三朗(提供=One Acre Short Drama)

 ショートドラマは1〜3分の短い尺で作られることが特徴だが、形式としては2タイプあるという。「1つがプロモーションを目的としたPR型のショートドラマです。もう1つが、皆さんが直接買うものとして作品型のショートドラマがあります。私たちが最初に作り始めたのはPR型のものです」と解説。同社は現在、その両方を制作しているという。

 その市場規模はどの程度になるのだろうか。金子は「2023年から中国で市場が爆発して、2024年に中国ショートドラマの市場の規模は1兆円を超えました。映画の興行収入9000億円を超えています。そしてショートドラマを手がける企業が積極的にグローバル展開を始めています。中国のショートドラマアプリはいま、150を超えるぐらいあります」と驚きの数字を並べた。ちなみに日本の伸び率は、中国、北米に次いで第3位の位置にあるという。

ショートドラマにおける“売れ筋”とは?

(左から)木村葉月、清水麻璃亜、安田直人(提供=One Acre Short Drama)

 話はショートドラマの“売れ筋”について及んだ。まず受けるフォーマットとしては、「①カット数が多め」「②売れるジャンルを選ぶ」「③続きが見たくなる構成」の3点をあげた。

 カット数について「ドラマ業界だと一般的に4〜7秒ぐらいに1回変わる程度ですが、ショートドラマは1秒あたりに0.5回、つまり2秒に1回は映像を変えているんです。カットを変えることで、飽きないような仕組みにしている」というデータを紹介した。

 同社ではいいね数が1万台を超えてるショートドラマをデータで分析した上で、バズる法則として“HITDRAMA”の法則を導き出したという。

(写真=間瀬佑一)

 そして売れるジャンルについては「明確に3つある」と語る。「まず“不倫復讐”で、今回試写いただく『ダウトコール』みたいな形です。もう1つが“身分隠し”で、いわゆる『水戸黄門』のようなもの。そして最近すごく伸びてるのが“BL”です」と明かす。

 あわせて感情の喜怒哀楽の中でマイナスの感情を刺しにいくポイントが重要になるという。「人間が本能的にマイナスの感情を排除したいと思う中で、インモラル系、不倫、復讐系は、不倫した奴にムカつく。そういうのが最後にどう復讐されるかという復讐の大喜利を見たいと思うんです。ショートドラマ業界はそうしたものがトレンドなのです」と語り、不倫復讐ものである『ダウトコール』の上映に入った。

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