広瀬すずと松山ケンイチの“粋”な関係にしんみり 『クジャクのダンス』を成立させる演技力

『クジャクのダンス』“粋”な関係にしんみり

 『クジャクのダンス』では考察要素だけでなく、キャスト陣の原作への理解から生じる芝居も作品の奥行きを広げているポイントだ。その筆頭が広瀬すずであり、第1話から涙をグッと堪える孤独の演技が絶賛されている。改めて、広瀬すずという女優の凄さを再確認させられるドラマでもあるが、第3話も当然の如く凄い。そもそもの基準点が高いため挙げ出すとキリがないが、松山がリリースでコメントをしている「独特の間」は確かに印象的だ。戸籍にある「長女」の文字を見て、一気に不安の霧が晴れていく心麦。しかし、それは心麦自身が実の娘である確証を持てないでいることの写し鏡であり、春生が全てを心麦に話しているわけではないと松風は現実を突きつける。

松山ケンイチ、『クジャクのダンス』を語る 広瀬すずの芝居は「“間”がとても印象的」

毎週金曜日に放送されている『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)より、松山ケンイチのインタビューコメントが公開された。 …

 父との思い出が詰まったちくわ入りカレーを口にして、徐々に笑みを取り戻していく心麦。「私にとったら、あのときちくわカレーを作ってくれたお父さんが私のお父さんです」と松風と自分に言い聞かせながら、「……松風さんのバカ」と絶妙なタイミングと声量で吐き捨てる。波佐見(森崎ウィン)的に言えば“粋な褒め言葉”、つまりは「ありがとう」という意味である。「私は私です。山下春生の娘です」というセリフの後に流れる主題歌(と曲に合わせた展開)も完璧であるが、左目からだけ綺麗に溢れ落ちる涙、そして松風を見据える眼差しが「信じ抜く」という心麦の強い決意を表していた。

『クジャクのダンス、誰が見た?』の画像

金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」

「このマンガがすごい!2024」にもランクインした浅見理都の同名漫画を実写化するヒューマンクライムサスペンス。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫っていく。

■放送情報
金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:広瀬すず、松山ケンイチ、森崎ウィン、瀧内公美、絃瀬聡一、野村康太、清乃あさ姫、斉藤優(パラシュート部隊)、酒井敏也、酒向芳、藤本隆宏、西田尚美、仙道敦子、原日出子、リリー・フランキー、磯村勇斗
原作:浅見理都『クジャクのダンス、誰が見た?』(講談社『Kiss』所載)
脚本:金沢知樹
プロデュース:中島啓介、内川祐紀、丸山いづみ
演出:田中健太、青山貴洋、福田亮介、棚澤孝義
主題歌:Ado「エルフ」(ユニバーサル ミュージック)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS

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