『【推しの子】』はなぜ“理想の実写化”になったのか 原作の芸能界描写に正面から回答
2.5次元舞台編は恋愛リアリティショー編と並ぶ『【推しの子】』の人気エピソードだが、原作者の漫画家・鮫島アビ子(志田未来)が脚本家のGOA(戸塚純貴)に抗議する場面を通して、漫画の実写化に伴うトラブルを描いた回でもある。
今回のドラマ版では『東京ブレイド』をテレビドラマ化するという展開に改変している。その結果『【推しの子】』を実写ドラマ化することに対する作り手の態度表明とでも言うような回に仕上がっており、漫画をドラマ化することの意味が強く打ち出されたエピソードに仕上がっていた。
同じことはアイの事件の真相を実録映画「15年の嘘」として制作することで真犯人を告発しようとする「映画編」を劇場映画『【推しの子】 -The Final Act-』で展開するスタンスにも表れている。
つまり本作は原作漫画がおこなった問題定義を真正面から受け止め、ドラマや映画といった実写映像作品として打ち返した批評的な作品なのだ。
何かと物議を呼ぶ「漫画の実写化」だが、実写化に伴う齟齬や混乱自体を受け止め、映像にフィードバックしているという意味において、本作は理想の実写化である。
■配信情報
Amazon Originalドラマ『【推しの子】』
Prime Videoにて世界独占配信中
■公開情報
映画『【推しの子】-The Final Act-』
全国公開中
出演:櫻井海音、齋藤飛鳥、齊藤なぎさ、原菜乃華、茅島みずき、あの、安達祐実、志田未来、中村蒼、戸塚純貴、濱田マリ、尾美としのり、山下幸輝、杢代和人、なえなの、柊太朗、黒田昊夢、簡秀吉、菊地姫奈、竹財輝之助、石井杏奈、青柳翔、稲垣来泉、岩川晴、斉藤柚奈、永瀬ゆずな、倉科カナ、金子ノブアキ、成田凌、要潤、吉田鋼太郎、黒川想矢、二宮和也
原作:『【推しの子】』赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
企画・プロデュース:井元隆佑
脚本:北川亜矢子
監督:スミス、松本花奈
音楽:fox capture plan
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・東映
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・2024 映画【推しの子】製作委員会
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