『マイダイアリー』が描いたモラトリアムの終わりとその先 優希が“未来”を見られるように

『マイダイアリー』が描いたモラトリアムの先

 大学を卒業して、変わってしまった優希と広海の関係性。2人の環境が同じだったときは、何もかもが違っていても、同じ歩幅で歩くことができた。でも、環境が変わると、その歩幅にだんだんとズレが生じてくる。一緒にいたいのに、一緒にいるとしんどくなる。自分が、広海の可能性を奪っているのではないだろうか? そんなふうに考えているうちに、優希は自分の気持ちが分からなくなってしまったのだろう。だからこそ、彼女は“人生の日記”を読み返すことにした。

 “現在”だけに目を向けると、別れた方がいいのかもしれない……と思ってしまう。でも、“過去”を振り返ると、広海からたくさんのギフトをもらっていたことを再確認させられる。「優希は、自分の知ってる世界を誰かに教えるってとても楽しいことなんだと気づかせてくれた」と手紙に綴った広海もまた、“人生の日記”を読み返していたのかもしれない。

「距離は離れても、僕は優希のことをひとりにさせない。だから、これからもう一度、一緒に生きていっていただけないでしょうか」

 「アメリカの大学に行ってしまったら、優希や仲間たちとの距離が離れてしまうのではないだろうか?」と不安になっていた広海が、渡米を決意することができたのは、「奇跡は、5人いるかぎり、決して崩れない」と確信できたから。“現在”のことで悩み、「私はふと、人生の日記を読み返したくなった」と“過去”を振り返っていた優希が、最終回では「私はふと、人生の日記の続きを書きたくなった」と“未来”を見られるようになった。

 これからもきっと、心の距離が離れてしまうことはあるだろう。でも、そこで諦めずに、きちんと向き合う努力をすることができる彼らなら、きっと大丈夫。わたしも、今晩は“人生の日記”を読み返しながら、大切な人に電話をかけてみようと思う。

■配信情報
『マイダイアリー』
U-NEXT、Netflixにて全話配信中
TVer、ABEMAにて見逃し配信中
出演:清原果耶、佐野勇斗、吉川愛、見上愛、望月歩、坪倉由幸、中村ゆり、勝村政信ほか
脚本:兵藤るり
音楽:小山絵里奈
主題歌:Saucy Dog「くせげ」(A-Sketch)
挿入歌:森大翔「群青日記」(A-Sketch)
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー:川村未来、藤田洋平、栗生一馬、森田大児
演出:穐山茉由、瑠東東一郎、髙橋浩、田口仁
制作プロダクション:東映東京撮影所
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト: https://www.asahi.co.jp/mydiary/
公式X(旧Twitter):@mydiary_abc
公式Instagram:@abc_mydiary
公式LINEアカウント:@abc_drama
公式TikTokアカウント:@mydiary_abc

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