『おむすび』橋本環奈のコメディ演技が加速気味? 結と翔也は“分かち合う”ことができるか
結(橋本環奈)にとって翔也(佐野勇斗)のプロポーズのやり直しは、確約された幸せだった。第11週・第53話で交わされた約束への期待は、結の中で次第に膨れあがっていき、陽太(菅生新樹)という思わぬ邪魔が入りながらも、ついにその時を迎える……はずだった。『おむすび』(NHK総合)第60話では、翔也がずっと言い出せずにいた肩の負傷を結に打ち明ける。
「明日、大事な話がある」という翔也のメールに、「キタコレ!」という心の声が表情に漏れ出してしまっている結。就職時期のお祈りメール辺りから、橋本環奈のコメディ演技が強くなっている印象があるのは筆者だけだろうか。日曜日のグラウンドに翔也とやってきた結。「どうしても結とキャッチボールやりてえんだ」と言われ、結は翔也から渡されたグローブをいそいそとはめる。
結が期待しているのはキャッチボールをしながらのプロポーズ。中華料理店・太極軒でのプロポーズからだいぶ成長した、結にとっても嬉しいシチュエーションなのだろう。翔也との初めてのキャッチボール。翔也のふんわりとした球をキャッチして喜び結だったが、いつまでも優しい球を投げ続ける翔也にようやく結も違和感を覚え始める。「いいのに、手加減せんで」と言う結に、翔也は「もうこういう球しか投げれねんだ」と告げた。
事態を理解できず困惑する結に、翔也は言葉を詰まらせながら野球選手としての道が絶望的であることを話す。甲子園出場を目指す福岡西高校のエースとして登場した翔也は、野球に人生を捧げ、プロ野球選手を目指してきた。甲子園に出場できなくとも、夢ノートを書き換えて進んできた翔也のロードマップ。それがここで途絶えてしまうことを、翔也の涙と結の足元に落ちたボールが寂しく伝えている。結が学生時代から鈍感だったとしても彼の落ち込んでいる姿や声から悩みに気づくことができなかったのだろうか。結局翔也に声をかけたのは長年バッテリーを組んできた幸太郎(大原由暉)だけというのは気の毒でならない。