『光る君へ』惟規の辞世の歌に涙 吉高由里子×高杉真宙、姉弟として“最期”の平穏な時間

『光る君へ』惟規の辞世の歌に涙

 惟規は、生真面目なまひろとは対照的に、おおらかで飄々とした性格だ。演者である高杉は、そんな惟規の個性をリラックスした佇まいとのんびりした口ぶりで表していた。そのため、惟規はまひろと関わりのあるキャラクターの中で最も打ち解けた様子で話す。姉弟のやりとりで心に残っているのは、まひろに『源氏物語』が舞い降りた第31回での言葉だ。「自分らしさ」について聞き出すまひろに、惟規は遠慮がない。

「そういうことをぐだぐだと考えるところが姉上らしいよ。そういう、ややこしいところ、根が暗くて、鬱陶しいところ」

 なかなかな言いっぷりだが、微笑ましく映ったのは、姉弟が気兼ねなく話せる関係だからこそ。第39回でも、2人はリラックスした様子で思い出を語っていた。惟規は、まひろの裳着の時、まひろと為時の仲が最悪だったと振り返る。惟規はのんびりした口調で「親子って変わらないようで、変わるんだな〜」と口にした。この言葉は、姉や父の生き様、道長のまひろへの思いなどを心穏やかに見つめてきた弟らしい背中の押し方ともいえる。姉を見て微笑む惟規の顔つきは優しい。賢子とまひろの仲がいずれよくなると、心の底から思っていることが伝わってくる。

「きっと……みんな、うまくいくよ」
「よく分からないけど、そんな気がする」

 惟規の言葉に、まひろは「何それ……」「調子のいいことばっかり言って……」と怪訝そうな顔を浮かべる。けれど、何事もうまくいくことを信じるように笑いかける弟の表情に、まひろはうなづき、同じように笑った。姉弟の間に平穏で幸せな時間が流れる。

 しかし、為時の供をして越後に向かう道中で、惟規は病に倒れ、息を引き取った。息も絶え絶えに辞世の歌を残す場面、そして彼が遺した歌はあまりにも悲しく、胸が詰まる。

 高杉は公式サイト内のキャストインタビュー動画「君かたり」にて、惟規について「家族以外でも人に愛されてきたキャラクターだったなって思いますね」「いろんな人からの愛をたくさん受けたキャラクターでした」と語っている。また最期については、「心残りっていうのはたぶんたくさんある」と話しながらも、「『うまくいくといいな』と思っていますね」「いとも乙丸もそうですけど、道長さんとかもね、全部うまく丸く幸せに生きてほしいと思っていますね」とコメント。

 惟規は微笑むような面持ちでこの世を去った。高杉が演出とともに表現した惟規らしさである。

 惟規の何としても生きて帰りたいという願いは叶わず、胸に穴が空いたような幕引きとなった第39回。救いだったのは、涙するまひろに賢子が寄り添ったこと。惟規が信じた母と娘の関係は形となって表れた。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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