『民王R』遠藤憲一×池井戸潤が9年ぶり再始動を語る “池井戸ワールド”に必要な条件とは?

『民王R』遠藤憲一×池井戸潤が対談

 テレビ朝日系10月期火曜ドラマ『民王R』の取材会が開催され、主演の遠藤憲一と『民王』の原作者・池井戸潤による対談が行われた。

 2015年に遠藤と菅田将暉のW主演で放送された政治エンターテインメント『民王』が、9年ぶりに再始動した本作。今回は、遠藤演じる現職総理大臣・武藤泰山と国民の誰かが、毎話ランダムに入れ替わってしまうというストーリーが展開される。

 『民王』にインスパイアを受け、新たに構築された『民王R』の世界。前作以上にハードな“入れ替わり”に挑戦した遠藤と、「信頼してお任せしています」という池井戸が新ドラマについて語り合った。(編集部)

池井戸潤「あえてチャレンジするところにやる気を感じた」

――『民王』シリーズの“入れ替わり”というシステムについて、『民王R』ではどのようなことに期待していますか?

池井戸潤(以下、池井戸):まず、台本を読んでないんですよ。だから、どういう話なのか実は知らないというところはありますけど、遠藤さんは前作から変わらずいらっしゃって。首相が、普段目の届かないような下々の人々と入れ替わることで気づくことがあるんだと思います。誰とどう入れ替わるかというところが、このドラマの肝になるのかなと。社会的な意味に受け取れる入れ替わりになっているといいなと思うんですけど、脚本はもうだいぶ出来てるんだよね?(笑) たぶん、期待したようになっているでしょう。

遠藤憲一(以下、遠藤):『民王』は大好きなドラマだったので、9年ぶりにもう一度やると言われて、「マジ!? 面白そう!」と思って参加しました。毎話で入れ替わるということで、今は4話目まで撮っているんですけど、予想していた何倍も大変ですね。役者人生の中で一番この作品が大変だと思う。じわじわと感じ始めています。ただ、先生が言ったように、いろんな人と入れ替わっていくことに必ずテーマがあるんです。例えば、老人、女性、子供に入れ替わることで見えてくる、さまざまな問題が今作では1話ごとに明確になっています。社会的な部分を感じさせながら、笑って、たまにホロッとくるような、いろんな要素があるので、楽しみながら考えさせられる作品になるのではないかと思います。

――今回、9年ぶりに再始動する『民王R』は、原作からインスパイアを受けた制作チームによるオリジナルストーリーということですね。

池井戸:最初に制作チームから、「『民王』を新しくやりたいんです。ストーリーを考えてください」と話がきたんです。そこで僕は10話ぐらいで完結する1本のロングストーリーを考えて、あとはもう自由にどうぞと渡したんです。そうしたら、1話ずつ入れ替わっていくショートストーリーでいきたいと言われて。自分が考えた物語をベースにして、クリエイターの人たちが自分のやりたいことを作るというのはすごく重要だと思うんですよね。ドラマの新しい企画が通りづらい今の時代に、僕の『民王』 をベースに、若いクリエイターが自由に想像力を発揮できるのだとすれば、日本の映像文化を底上げできるかもしれない。そういったドラマになるといいなと期待しています。原作者として文句も言わないですし、好きなようにやってほしいです。

――遠藤さんは今の経緯は聞いていたんですか?

遠藤:何も。先生との間でのやりとりも知らないですし、こうなりますというのを台本が上がる少し前に聞いたぐらいです。先生が言われていたように、いろんな方の創作意欲を拾いつつ、周りの人たちの意見を宝物にしながら考えて演じているところですね。もちろん自分の意見も言いますけど、否定されたらやっぱり違うんだなとも思いますし。

――池井戸さんは「構想について多少のサジェスチョンはしたものの、プロットを拝見したらまったくの別物で驚かされました」とコメントをされていました。

池井戸:いわば長編のプロットを出していたので、それを連作の短編形式、1話完結に変えてきたのは、やる気があるなと思って。一つの大きなストーリーを考えるのと、小さなストーリーを考えるのは、実は同じぐらい難しいんですよね。1話完結のストーリーをたとえば10話分作るということは、その大変さが10倍になるわけです。それにあえてチャレンジするところにやる気を感じます。

遠藤:俺の疲れはそこですね!(笑) 毎回入れ替わってるから。今言われて、改めてそうだよなって思いました。

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