藤原竜也が“叫ばない”抑えた芝居に 『全領域異常解決室』第1話から新たなジャンルを構築

『全領域異常解決室』構築した新たなジャンル

 生配信で松宮の妻であることを明かしたひよりが事務所から帰宅している途中、後ろから包丁で襲いかかってきたのは松宮の熱狂的なファンでガールズバー経営者の駿河美鶴(工藤美桜)だった。間一髪のところで松宮が美鶴を制止し事なきを得るが、松宮は美鶴とともにその場から立ち去ろうとする。

 そこに現れたのは興玉と小夢。一時は松宮に人質に取られていた興玉だったが、いとも簡単に松宮を武力で制圧。今回は藤原のアクションは見られないとばかり思っていたので、短いとはいえ堪能することができたのは嬉しい誤算だった。美鶴は推しである松宮をスターダムに押し上げるために、松宮と協力してヒルコの神隠し事件を模倣していたのだ。

 工藤美桜といえば、『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)、『魔進戦隊キラメイジャー』(テレビ朝日系)などの印象が強い。けれども、本作では推しに愛を向ける熱狂的なファンとして狂気的な演技を見せていた。あそこまで推しへの狂った愛情を表現できるのはさすがの演技力としか言いようがない。第1話は間違いなく工藤の好演が物語を引き締めていたように思う。

 そして、忘れてはならないのは本作の主演である藤原竜也の存在だ。『デスノート』シリーズや『カイジ』シリーズ、ここ数年では『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』(カンテレ・フジテレビ系)でのスクールポリス役も記憶に残る藤原が、本作では抑えた演技で淡々と言葉を紡いでいく。決して大胆な演技こそないが、藤原の演技の深さがあってこそ成立しているドラマだと感じた。とはいえ、どこかで大声を上げるのではないかと期待している自分もいる。

 松宮と美鶴が起こした殺人事件は解決したが、まだヒルコの神隠し事件は未解決である。小夢も何やらヒルコらしき影が見えているようで……。その正体は本当にヒルコなのか、それとも人間なのか、はたまたそれ以外の何かなのか。この先も様々な超常現象と絡んだ事件が登場しそうで、今から楽しみだ。

■放送情報
『全領域異常解決室』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:藤原竜也、広瀬アリス、柿澤勇人、福本莉子、小宮璃央、成海璃子、迫田孝也、ユースケ・サンタマリア、小日向文世
ゲスト:志田未来、吉村界人、工藤美桜、林泰文、清乃あさ姫、山口紗弥加、森下能幸、山田キヌヲ、神保悟志
脚本:黒岩勉
プロデュース:成河広明、大野公紀
演出:石川淳一
音楽:小西遼
オープニングテーマ:清水美依紗「TipTap」(ユニバーサル ミュージック)
エンディングテーマ:TOMOO「エンドレス」(IRORI Records/PONY CANYON inc.)
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
©フジテレビ
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