松本若菜×松村北斗『西園寺さん』コンビがMVP! 夏ドラマを支えた“松”俳優たち
7月頃にスタートしたドラマが続々とクライマックスに突入している。多種多様なラインナップで私たちを楽しませてくれた夏ドラマだが、中でも今期No.1との呼び声が高いのは『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)だ。本作で抜群のコンビネーションを見せる松本若菜と松村北斗をはじめ、今期は名前に「松」のつく俳優たちが“キープレイヤー”として力を振るった。
『海のはじまり』池松壮亮
まずは、月9『海のはじまり』(フジテレビ系)より抜群の安定感を見せた池松壮亮。このドラマは『silent』(フジテレビ系)、『いちばんすきな花』(フジテレビ系)を手がけた最注目の若手脚本家・生方美久による完全オリジナル作品で、主人公の夏(目黒蓮)が亡くなった大学時代の恋人・水季(古川琴音)が自分の娘を産んでいたことを知るところから始まる物語。そんな夏に冷ややかな目を向けるのが、池松演じる水季の同僚だった津野だ。津野は水希に恋愛感情を抱きながらも、彼女の意思を尊重し、あくまで同僚として献身的に親子をサポートしてきた。それなのに今さら現れて父親になろうとする夏に対する苛立ち、大切な人を亡くした喪失感、家族ではないからこその疎外感など、心の中に様々な感情が渦巻いている津野は池松だからこそ演じられた役に違いない。目黒の一時活動休止に伴って放送された、水季と津野の知られざる恋を描く特別編でも池松の豊かな演技を堪能することができた。
『ギークス 〜警察署の変人たち〜』松岡茉優
この人だからこそ演じられた、という唯一無二感を抱かせたのは『ギークス 〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)の松岡茉優も。特別な才能を持つ警察署勤務の女性3人がノー残業をモットーに事件を早急に解決していく本作において印象的だったのは松岡のオールマイティーっぷり。松岡が演じる主人公の西条は頭脳明晰な鑑識官だけど、ムダな労力がとにかく嫌いで、人との距離感にも厳しい。普通に見たらかなりの変人だが、彼女に負けず劣らず、周りの人間も相当変わっているのだ。そんな難しい立ち位置の中で、松岡は“攻め”と“受け”の演技をバランスよく使い分け、自分の役を光らせつつ、ひと癖もふた癖もあるサブキャラクターを輝かせた。その度量の広さ、まさにギーク。
『夫の家庭を壊すまで』松本まりか
インパクトの強さで言えば、『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)でサレ妻を演じた松本まりかが今期No.1だろう。本作はもはや「松本まりか劇場」と言っても過言ではなく、愛する夫に別の家庭があることを知った妻・みのりが壊れていく過程を鳥肌が立つほどの怪演で見せた。だが、ただ闇雲に暴れているわけではなく、その行動の裏にあるみのりの深い絶望もしっかりと表現されている。そんな大胆さと繊細さを併せ持った松本の演技に人々は目が離せないのだ。特にみのりが涙で鼻水を垂らしながら、夫に愛されたかったという思いを伝える場面は共感で胸が締め付けられた。