平岩紙は“真面目さ”を使い分ける俳優だ! 『新宿野戦病院』『虎に翼』で体現する女性像

平岩紙は“真面目さ”を使い分ける俳優だ! 

 平岩は、演じるキャラクターの真面目さを様々な方法で表現してきた。現在放送中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』では、主人公である寅子(伊藤沙莉)の大学時代の友人・梅子として出演している平岩。梅子は弁護士の夫と、子供の親権を得た上で離婚したいと考え、明律大学で法律を学ぶことを決意。寅子たちとともに学びながらも年下の彼女たちをさりげなくフォローしたり、励ましたりしていた。

 平岩はこの時の梅子を、真面目さに優しさを混ぜ合わせて、よく笑い、どんな時でも明るく、強い女性として演じてみせた。しかし、家族のために心を砕いてきた梅子の思いは家族には伝わらず、梅子は離婚や親権どころか、夫が亡くなった後の財産も満足にもらえなかった。梅子の状況は傍から見ても悲惨だったが、その目は光を失っておらず、これから必ず自分の力で生きていくんだという決意に満ちていた。この時の梅子は真面目さと負けん気を持ち合わせていたと言っていいだろう。

『虎に翼』写真提供=NHK

 ふたたび「東京編」として舞台を新潟から東京へ移した『虎に翼』で梅子はなんと、手伝いをしていた甘味処 「竹もと」で菓子職人見習いとなっていた。常連の桂場(松山ケンイチ)にあんこの出来を見てもらっている梅子は、大学時代とも家族といた時とも違う緊張感を漂わせていた。

 2度目の再登場となった梅子は、その真面目さを生かして職人の道を極めようとしているのだ。このように、平岩は、梅子本来の温かさはそのままに、真面目さの中にある微妙な違いを繊細に演じ分けている。

『虎に翼』写真提供=NHK

 さて、“真面目さ”の視点で見ると『新宿野戦病院』のはずきには素直さ、真っ直ぐさも感じる。自己肯定感が高いわけではないが捻くれてはいないし、ヨウコの出自の秘密がわかっても意地の悪いことはしない。むしろ誰にでも真正面からぶつかっていこうとしている。だから聖まごころ病院に多い、わざとヘラヘラして真剣さがないように見せる人もはずきの前では居住まいを正すのだ。聖まごころ病院全体の手綱を握っているのは、もしかしたらはずきなのかもしれない。

■放送情報
『新宿野戦病院』
フジテレビ系にて、毎週水曜 22:00~22:54放送
出演:小池栄子、仲野太賀、橋本愛、平岩紙、岡部たかし、馬場徹(ドランクドラゴン)、塚地武雅、中井千聖、濱田岳、石川萌香、萩原護、余貴美子、高畑淳子、生瀬勝久、柄本明ほか
脚本:宮藤官九郎
プロデュース:野田悠介
演出:河毛俊作、澤田鎌作、清矢明子
制作:フジテレビ ドラマ・映画制作部
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/shinjuku-yasen/
公式X(旧Twitter):@shinjyuku_yasen
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