『虎に翼』寅子の“思い出メシ”を振り返る 「トラつばカフェ」オープンを望む声も

『虎に翼』寅子の“思い出メシ”を振り返る

 朝ドラと食べ物の相性の良さは、これまでも『ちむどんどん』の沖縄料理や『ごちそうさん』のフードスタイリスト・飯島奈美監修の料理など、多くの作品で証明されてきた。NHK連続テレビ小説『虎に翼』もこの伝統を受け継ぎ、独自の味わい深い料理シーンを展開している。

 物語の展開とともに、寅子(伊藤沙莉)の旧友・涼子(桜井ユキ)と玉(羽瀬川なぎ)が営む喫茶店「ライトハウス」こと「tea room Light house」が新たな美食スポットとして注目を集めている。この店の登場により、ドラマの料理シーンがさらに充実。第82話で登場した寅子の大学時代の思い出の味である「饅頭」は、みなに「毒饅頭事件」を連想させた。

 また、稲(田中真弓)が作った「かきあえなます」も登場。「かきあえなます」は、かきのもとと呼ばれる赤紫色の食用菊やレンコンを、クルミとゴマ酢で和えた新潟の郷土料理だ。稲がきたことで、ハヤシライスが看板メニューであるライトハウスに、新たな魅力が加わった。

 こうした多彩な料理の登場に、SNSでは大きな反響が起きている。実際に“トラつば飯”が食べられる「トラつばカフェ」のオープンを望む声も多く上がっており、ドラマの中で紹介される料理への関心の高さがうかがえる。

 「トラつば飯」といえば、寅子たちの憩いの場でもある、甘味処「竹もと」のあんみつを真っ先に思い浮かべる視聴者も多いだろう。「竹もと」は実際に神田須田町にある昭和5年創業の「竹むら」をモデルに、NHKスタジオ内に精巧に再現されたセットだ。

 「竹むら」は、戦前の建物がほぼそのまま残り、当時のメニューや器も保存されている貴重な場所。ドラマでは、これらを参考に、当時のレシピでお団子やあんみつを再現したそうだ。NHKの担当スタッフが、当時の器に盛り付けるなど、細部にまでこだわりを見せている。さらに、お土産用の包み紙まで忠実に復元するなど、その徹底ぶりには目を見張るものがある。

 第18話のハイキングで登場する、お弁当も印象的だった。寅子のお煮しめや卵焼きが入った和風弁当、梅子のいつも好評な大きなおにぎり、そして涼子のサンドイッチ、ローストビーフ、マドレーヌといったハイカラな洋風弁当。これらは単なる小道具ではなく、キャラクターの個性や家庭の色を巧みに表現する重要な要素となっている。

 新潟に来てから寅子を悩ませた、近所の人たちが持ってくる料理も、味としては大変美味しそうだった。杉田兄弟の兄・太郎が商店街の者たちと協力し、佐田家に届けてくれた料理の数々。メバルの煮つけや、たけのこの酢みそ和え。豪華なおかずが優未(竹澤咲子)の待つ食卓を飾った。

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