『虎に翼』脚本・吉田恵里香の心に刻みたい名台詞の数々 “声が残る”ことの大切さ
昭和25年10月に言い渡されたある最高裁判決。尊属殺人罪についての判決の中で、反対意見を訴えたのは最高裁判事15人中2人だけ。そのうちの1人が穂高(小林薫)だ。寅子の話を聞いていた直治は「2人なんて、それっぽっちじゃ何も変わらないよ」と言う。子どもたちの間に悄然とした空気が流れる中、寅子は首を横に振り、「そうとも言い切れない。判例は残る」と言った。
「たとえ2人でも、判決が覆らなくても、おかしいと声を上げた人の声は決して消えない。その声がいつか誰かの力になる日がきっと来る。私の声だって、みんなの声だって、決して消えることはないわ」
何かが変わろうとする時、変えようとする時、障壁にぶつかることはあるだろうし、その歩みは遅いかもしれない。それでも、“おかしいと声を上げた人の声は決して消えない”。
物語において、母を気遣うあまり、寂しさを押し殺してしまう優未と寅子のやりとりには不安が残っている。だが、語り部(尾野真千子)が語る「諦めるもんか、絶対に」という心の声と、眠っている優未を優しく見守りながら自身が果たすべき役目を考える寅子のまなざしに、法に向き合い続ける寅子の強い信念を感じた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、平埜生成、ドンペイ、名村辰、松川尚瑠輝、沢村一樹、滝藤賢一、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK