“本物”の笠置シヅ子を見逃すな! 『ブギウギ』視聴者必見の特集『笠置シヅ子スヰング伝説』

必見の特集『笠置シヅ子スヰング伝説』

「ほっとちゃいな」

「ほっとちゃいな」写真提供=神戸映画資料館
「ほっとちゃいな」写真提供=神戸映画資料館

 チャイナ服を身に纏い、扇子をあおぎながら、なんとも妖しい佇まいで身体を揺らす笠置シヅ子。これも「中国娘」というキャラを自分の中に憑依させて歌っているように見える。中国獅子舞の太鼓とジャングルビートを掛け合わせたような独特なドラムに、変拍子、スキャット、ロングトーンの歌い上げなど、要素がてんこ盛りの難曲をすっかり自分のものにして歌いこなしている。「ジャングルビート」「ロングトーンの歌い上げ」という要素に、『ブギウギ』にも登場した戦後のヒット曲「ジャングル・ブギー」の源泉が見いだせる気もする。歌いながら首を出し引きして、ちゃんと裏拍でリズムを取り、ノっている笠置シヅ子。さすがはスウィングの女王である。

「ハリウッド見物」

「ハリウッド見物」写真提供=神戸映画資料館
「ハリウッド見物」写真提供=神戸映画資料館

 タイトルからしてさぞや“バタくさい”曲なのかと想像していたら、謡曲や長唄を思わせる曲調で一驚する。服部良一の遊び心と笠置シヅ子の個性が炸裂しており、ここでもまた笠置は、他の曲とは歌い方を変えて“キャラ”を乗っけている。さらに驚くのは、笠置シヅ子とハリウッド俳優の交友をコミカルに描いたアニメーションが重ねられていることだ。筆者が生まれて初めて見た「アニメを用いた国内アーティストのミュージックビデオ」といえばモンキー・パンチ制作のアニメとコラボした矢沢永吉の「PURE GOLD」(1990年)だが、その50年前にこれほど実験的で洒落っ気たっぷりの“ミュージックビデオ”が制作されていたとは恐れ入る。

 というわけで、戦前の映像からも伝わってくる笠置シヅ子の唯一無二の個性は圧巻だ。『ブギウギ』ロスの視聴者も、「本物の映像」に触れることのできるこの貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。

■放送情報
CSホームドラマチャンネル「ブギの女王・笠置シヅ子特集」
オリジナル特番「笠置シヅ子スヰング伝説」
6月9日(日)21:45〜ほか放送

オリジナル特番「笠置シヅ子ブギウギ伝説 後編」
6月9日(日)21:15〜ほか放送

映画『ぺ子ちゃんとデン助』
6月9日(日)19:45〜ほか放送

映画『脱線情熱娘』
6月16日(日)17:15〜放送

映画『ザクザク娘』
7月7日(日)17:15〜放送

写真提供:神戸映画資料館
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