生見愛瑠主演『くる恋』はラブコメというよりお仕事ドラマ? “本当の自分”より大切なこと

生見愛瑠主演『くる恋』はお仕事ドラマ?

 松永さんは、社員の女性たちがお昼休みで外食に行く際、まことから一緒に行かないかと誘われても、その誘いを断り残ってお弁当を食べている。正社員から体よく残業を押し付けられてもいるし、正社員しか扱ってはいけない顧客データを必要だから扱っていたにもかかわらず、そのことで会社を追われることになる。

 松永さん自身は、そんなことは派遣社員には当たり前とばかりに、諦めた顔をしているのだが、まことは、「右から左に受け流すなんてことはできそうになくて」と、松永さんの置かれた理不尽な状況に腹を立て啖呵を切って会社を辞めてしまう。

 きっと以前のまことであれば、こんなことはしないだろう。同僚の朝日であれば、会社に啖呵を切るまことは、「悪目立ちしないために努力を惜しまなかった本来のまこと」ではないと考えるのではないだろうか。

 しかし、花屋を経営する“元カレ”西公太郎(瀬戸康史)は、そんな正義感の強いまことを「らしい」と評する。果たして、まことの本当の姿はどっちだったのだろうかと思わせるシーンであった。

 ところが、このドラマを第2話、第3話と観ていくと、派遣社員の松永さんは、自らをまことの“運命の相手”と語る板垣律(宮世琉弥)がお金を払って、まことの元に送っていた存在であったということが発覚する。しかも、正義感によって会社を辞めたまことのことを律が「まことさん、そんなバカなことしない人なんだけどな……」とつぶやく姿が怖い。

 一方、律に利用された松永さんが、「ほんとの緒方さんのこと知ってるんですか? 何が目的か知らないですけど、緒方さんに酷いことしないでください」と言っていることに救われたが、謎が残るシーンであった。

 その後も律には不穏なシーンが多く、ほかの2人の男性たちにも思惑のある様子を見ていると、このドラマが、単に1人のヒロインと、3人の男性の恋のさや当てを描くことが目的ではないことがわかる。

 このドラマは、まことが「本当の自分」を取り戻すことも大きなテーマであるが、果たして周りに合わせて擬態していた以前のまこと自身が「本当の自分」なのだろうか。第2話以降では、ラブストーリーの部分が多くなっているが、第1話で描かれていたことが、どのように今後のストーリーに関わってくるのか、気になるところである。

■放送情報
火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:生見愛瑠、瀬戸康史、神尾楓珠、宮世琉弥、丸山礼、高野洸、村方乃々佳、肥後克広(ダチョウ俱楽部)、ともさかりえ、片平なぎさ
脚本:吉澤智子
演出:松木彩
プロデューサー:八木亜未
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:Da-iCE「I wonder」(avex trax)
編成:武田梓
製作:大映テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/darekoi_tbs/
公式X(旧 Twitter):@darekoi_tbs
公式Instagram:darekoi_tbs 
公式TikTok:darekoi_tb

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