堂本剛でなければならない役がある 荻上直子監督作で27年ぶり映画主演の必然性
堂本剛の27年ぶり映画主演の知らせを聞いて、胸が弾んだ。5月10日、堂本剛が荻上直子監督作『まる』に主演として出演することが明らかになった。本作は、部屋に帰ると床にいた1匹の蟻に導かれるように描いた○(まる)を発端に、日常が○に浸食され始める男を描く奇想天外な物語。『かもめ食堂』(2006年)、『めがね』(2007年)、『彼らが本気で編むときは、』(2017年)など素晴らしい数々の作品を手掛けてきた荻上監督だからこそ、堂本との初タッグで強烈な印象を残してくれるのではないかと期待が持てる。
堂本剛といえば、堂本光一とのデュオ・KinKi Kids以外にもENDLICHERI☆ENDLICHERI、剛紫、ENDRECHERIなど複数名義で活動するアーティストとして知られている。ファッションが好きで個性的な出で立ちをすることも多く、アーティスティックで天才肌なパブリックイメージを持つ。だからこそ「美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている」という主人公に堂本剛を抜擢したいがために、荻上が約2年もの間、熱烈オファーを続けたというエピソードは大いにひざを打つ。独特のオーラを纏える人物こそが堂本剛なのだ。
今でこそ音楽中心に活動する印象が強い堂本剛だが、1990〜2000年ごろにはテレビドラマでの活躍も目立った。『金田一少年の事件簿』シリーズ(日本テレビ系)を筆頭に、『ぼくらの勇気 未満都市』(日本テレビ系)、『向井荒太の動物日記 〜愛犬ロシナンテの災難〜』(日本テレビ系)などが爆発的な人気を得ており、平成ドラマで大きな存在感を見せた。
特に『金田一少年の事件簿』シリーズでは、ミステリアスな雰囲気の中、時にふざけ、時にカッコよくビシッと決める堂本剛に惚れ込んだ視聴者も多かったことと思う。本シリーズは今もなお堂本剛の後輩たちが金田一役を務めており、長く愛されるドラマシリーズとなっている。加えて『ぼくらの勇気 未満都市』では堂本光一とともに主演を務め、飄々とした性格と関西弁を喋るタケル役で作品を彩る。当時の強い人気に応え、2017年にはKinKi Kidsのデビュー20周年を記念した続編『ぼくらの勇気 未満都市2017』(日本テレビ系)がスペシャルドラマとして放送された。