“素敵な男性”を演じる松坂桃李はレア!? 『耳をすませば』大人になった聖司くんの魅力

『耳をすませば』大人になった聖司くんの魅力

 5月10日の日本テレビ系『金曜ロードショー』で、実写版『耳をすませば』(2022年)が地上波初放送される。原作は、1989年に雑誌『りぼん』で連載された柊あおいの同名漫画で、1995年にはスタジオジブリがアニメーション映画を制作し、今なお青春映画の金字塔としてファンが多い。今回放送されるのは、その物語の10年後を描く実写映画だ。

 読書が大好きな、元気いっぱいの中学生の女の子・月島雫(学生時代:安原琉那)は、いつも自分より先に本を借りている、図書貸出カードに記載された天沢聖司(学生時代:中川翼)の名前が気になって仕方ない。その後、雫と聖司は、あるきっかけで“最悪の出会い”を果たすことに。

 でも、聖司に大きな夢があることを知った雫は、次第に彼に惹かれていき、やがて2人は両想いになる。聖司に背中を押され、雫も作家になるという夢を抱くようになるが、聖司はプロのチェリストになる夢を叶えるためにイタリアに渡ってしまう。離れ離れになっても、それぞれの夢を追いかけて、そしてまた必ず会おうと誓い合う雫と聖司。

 10年後の1998年。雫は児童書の編集者として出版社で働きながら夢を追い続けていたが、なかなか思うようにいかずにもがいていた。聖司も決して順風満帆ではなく、もどかしい日々を送っていた。ある日、仕事で大きなミスをしてしまった雫は、仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られて悩む。そして、雫はイタリアにいる聖司に会いに行く決心をするのだが……。

 本作では、中学生時代の雫と聖司を描くのと並行して、大人になった2人の厳しい“現実”を綴っている。映画『TOKYO TRIBE』(2014年)や、映画版も作られたドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)などで、アクションが得意な俳優というイメージが強かった清野菜名は、『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)や『日曜の夜ぐらいは...』(ABCテレビ・テレビ朝日系)では、等身大のヒロインを演じて好評を博した。『耳をすませば』でも、いつも元気いっぱいだった雫が大人になって、仕事でさまざまな壁にぶつかり悩みながらも、聖司への想いを抱き続ける20代の女性に成長した姿を体現している。

 雫が「聖司くん」と呼んで想いを寄せた中学時代の天沢聖司は、実写版でも“カッコいい男子”として、中川翼が好演した。10年後のストーリーが描かれると知った時、「聖司くんが大人になったらどんなだろう」「きっと素敵な青年になっているに違いない」と、筆者を含め、大勢の人が期待したはず。松坂桃李はその期待を裏切ることなく、イタリアにいる大人の聖司くんが、チェロを肩に担いで颯爽と歩いたり、真っ白なセーターを着て演奏したりする姿を見せ、まずビジュアル面でもときめかせてくれている。

 雫と聖司はお互いに想い続けており、つらい時でもお互いの存在が心の支えになっている。10年経っても変わらない2人の想いは、観客を喜ばせるが、大人になった2人を待ち受けるのは、楽しいばかりの日々ではないため、恋の行方が非常に気になる展開が描かれていく。勇気を出してイタリアまで聖司に会いに行った雫と、彼女を迎え入れる聖司。松坂が演じる聖司の雫への対応は、まさに100点満点で、やっぱり聖司くんはファンを裏切らないと感動してしまった。

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