『ミス・ターゲット』すみれが結婚詐欺師になった理由 宗春の存在が“幸せ”のきっけかに?

「すみれさんは、“もっともっと病”なんじゃないですか? もっともっと欲しいって、幸せってそういうことじゃないと思いますけど」

 『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)第2話。宗春(上杉柊平)の言葉に、ハッとさせられた。たしかに、高級車に乗って素敵な家に住んでいても、幸せそうじゃない人はいる。お金を持っているからといって、必ずしも幸せになれるわけじゃない。現に、宗春よりもお金を持っているはずのすみれ(松本まりか)は、全然幸せそうじゃないのだ。

 幸せな人と幸せじゃない人の違いって、日常に落ちている幸せに気づけるかどうかなのかもしれない。朝起きて、美しい空を見ただけで幸せだと思う人もいれば、そんなことでは幸せを感じられないという人もいる。

 すみれだって、昔は些細なことで心を満たせていたはずだ。貧しかった幼少期に比べたら、美味しいご飯を食べられるだけで幸せで、綺麗な洋服を着られるのがうれしかった。でも、一度お金を手に入れてしまったら、“もっともっと”と歯止めが効かなくなってしまったのだろう。

 ただ、それは仕方がないことのようにも思える。たとえば、学校は上昇志向を育てる方法を教えてくれる場所だった。「これでいい」「これで幸せ」と現状に満足している生徒は、「向上心がない」とマイナスの評価を下されることが多かったような気がする。

 90点を取ったら、「じゃあ次は100点を取れるように頑張ろうね!」と言われ、部活でいい成績を残したとしても「次は優勝できるといいね」と鼓舞される。幼少期から植え付けられてきた“もっともっと病”を克服できないと、すみれのように幸せを感じられない大人になってしまうのだろうか。

 その点、宗春は幸せのセンサーが低めに設定されている。よもぎを摘んで、美味しい草餅を作る。大金を稼げなくても、有名になれなくても、目の前にいるお客さんが幸せになってくれれば、それだけで幸せを感じることができるのだ。

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