二階堂ふみ×チェ・ジョンヒョプ『Eye Love You』はなぜ視聴者の心を揺さぶり続けるのか

なぜ『Eye Love You』に夢中に?

 しかし、物語が進むにつれて、テオが抱く愛情の底知れぬ深さに気付かされることになる。好きな人からパートナーへと変わるように、恋が愛へと変わるように、その変化は著しいものだ。

 特に印象的だったのが、第6話のラスト・霧多布岬でのシーンである。一度はテオに突き放されたものの、花岡に背中を押された侑里は霧多布岬に向かう。そこで自分から気持ちを伝えようとするが、いざとなると言葉が出てこない。自発的にならずとも相手の気持ちがわかるテレパス能力のせいで、いつのまにか侑里はただ待っているだけの受身人間になってしまったからだ。

 そんな彼女を目の前に、テオは「お米は好きですか」と問いかける。これは本当にお米が好きなのかを聞いているわけではなく、二人が出会ってまもない第1話で繰り広げられたやり取りのリフレインなのだ。「カレーは好きですか」「チャーハンは好きですか」「オムライスは好きですか」から「僕は好きですか」に変わり、第1話で狼狽えていた侑里は、第6話にして、大切な人に自ら気持ちを伝える勇気を手にしたのである。

 なかなか言葉をいいだせない侑里を目の前に、テオから「マニサランへ(すごく愛してる)」と伝えることもできただろう。むしろ彼の積極的な性格を考えると、その方が容易だったはず。ヒロインが告白しようとした際に、相手の男性側が「俺から言わせてほしい」とリードするパターンは、恋愛ドラマにおいても鉄板の流れだ。

 しかし、テオはあふれる思いをグッとこらえ、侑里に言葉のバトンを渡す。彼女をただ愛しているからだけでなく、侑里という人間の意志を尊重しているからこその行動で、かつて「心が読めてしまうからこそ、人の本音に気づこうとしてこなかったのかもしれない」と沈んでいた侑里の後ろめたさをも包み込む。それはもしかしたら直接口にする愛の言葉よりも、もっと深い愛情表現だといえるのではないだろうか。

 さらに3月12日放送の第8話では、テオが侑里のテレパス能力に気づいていたという衝撃の事実が明かされた。ユン・テオ、あなたはそんなにも大きな愛情で侑里に接していたのか……。終盤に向かって不穏な空気が流れているものの、何人たりとてテオのビッグラブに勝てる者はいないだろう。寂しいけれど、残すところあと2話。今宵もテレビの前で精一杯「アイラブユー!」を叫ぼうじゃないか。

■放送情報
火曜ドラマ『Eye Love You』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:二階堂ふみ、チェ・ジョンヒョプ、中川大志、山下美月、清水尋也、立川志らく、ゴリけん、鳴海唯、絃瀬聡一、杉本哲太
脚本:三浦希紗、山下すばる
演出:岡本伸吾、福田亮介、加藤亜季子
プロデュース:中島啓介、車賢智、佐井大紀
主題歌:Omoinotake「幾億光年」(Sony Music Labels)
編成:平岡紗哉、髙田脩
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/EyeLoveYou_tbs/
公式X(旧Twitter):@eyeloveyou_tbs
公式Instagram:eyeloveyou_tbs

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