“学園ドラマ”黄金期から約20年 道枝駿佑主演『マルス』がミレニアル世代に刺さる理由

『マルス』がミレニアル世代に刺さる理由

 年号が令和に変わってから早6年。いま平成生まれ世代に注目を集めているのが、連続ドラマ『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系/以下、『マルス』)だ。本作は、落ちこぼれの高校生たちが、謎の転校生“ゼロ”こと美島零(道枝駿佑)と動画集団「マルス」を結成し、大人たちの悪事を暴いていく青春“クーデター”サスペンス。

 そんな本作を手がけるのは、脚本家・武藤将吾だ。武藤の作品といえば、多くの人は菅田将暉主演の『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)を思い浮かべるだろう。同作は現代社会に警鐘を鳴らす内容で世間に衝撃を与えた。一方で、武藤は2000年代にも記憶に残る作品を数多く手がけており、その一つが『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系)だ。2017年に芸能界を引退した堀北真希が男装のヒロインを演じた同作。小栗旬や生田斗真ら演じるイケメン揃いの男子校で繰り広げられるラブコメディに、当時学生だったミレニアル世代は誰もが夢中になったものである。

 思い返してみたら、その頃は学園ドラマの黄金期だった。もはや伝説ともいえる『花より男子』(TBS系)をはじめ、『ドラゴン桜』(TBS系)、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『ごくせん』(日本テレビ系)、『ROOKIES』(TBS系)、恋愛系からお受験もの、スポ根にヤンキーものまで幅広いジャンルの学園ドラマが存在していた。しかし、金字塔的作品である『3年B組金八先生』(TBS系)シリーズのファイナルが放送された2010年代の始め頃から学園ドラマはどんどん下火傾向に。YouTubeの台頭でターゲット層である若者がテレビから離れていったのも理由の一つだろう。今ではかなりその数は減っている。

 そんな中で始まった『マルス』は、『消えた初恋』(テレビ朝日系)や『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)での好演も記憶に新しい道枝駿佑が主演を務めているほか、『silent』(フジテレビ系)でのヒロインの弟役で話題を集めた板垣李光人、板垣とは『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』(読売テレビ・日本テレビ系)でW主演を務めた吉川愛、『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS/TBS)でパパ活女子役に挑戦した横田真悠、『いちばんすきな花』(フジテレビ系)で強いインパクトを残した泉澤祐希、スタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』で主演に抜擢された山時聡真、『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系)でもメインキャストの一人に名を連ねた井上祐貴、2023年放送の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)で真田信繁を演じた日向亘ら、近年の話題作を語る上で外せない若手キャストが勢ぞろいしている。加えて、それぞれが演じるキャラクターもどことなくマンガチックで個性が立っており、平成の学園ドラマ感が溢れている。

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