『光る君へ』毎熊克哉だから成り立つ直秀の“優しさ” 身分違いの“同士”道長はどう動く?

『光る君へ』直秀の正体を知った道長

 一方、公任や斉信は、直秀が道長の腹違いの弟であろうがなかろうが大して関心はない。公任と斉信は、道長と直秀がまひろを知っているなどとは知らず、まひろの話をし始めた。

「あれは地味でつまらん女だ」
「女ってのは本来、為時(岸谷五朗)の娘みたいに邪魔にならないのがいいんだぞ。あれは身分が低いからダメだけど」
「女こそ家柄が大事だ。そうでなければ意味がない」

 公任と斉信の会話を聞いて、どこか心苦しげにも見えた直秀と、その会話から耳を遠ざけようとしているように見える道長。道長は文を通じてまひろへの恋心をはっきりと打ち明けているが、直秀の胸中は明確には読み取れない。だが、公任と斉信の言い草に複雑な想いを抱えているのは同じだ。そんな中、直秀だけが、公任と斉信の会話を聞くに堪えず、その場を走り去るまひろの姿を見つけた。

 ちょうどその時、道長は直秀の腕に傷があるのを目にする。盗賊の腕に矢が当たった場面を思い出し、直秀の正体を察した道長は思わず息を呑んだ。その表情が心に強く残る。自らが咎めるべき立場に直秀がいることを知った道長の胸中を思うと心苦しい。

 厳しい顔つきでいることが多い直秀は、一見するとつっけんどんな人物のように映る。まひろと道長の身分の差に言及し、その想いを諦めるべきだと伝えたこともあった。だが、実際には、まひろと道長の両方を気に掛ける心優しき青年でもある。道長はそんな直秀の本質を悟っているように思うが、物語の終わりに、自身と直秀が、貴族と盗賊という間柄であることをも悟ってしまった。まひろと道長の恋の行方も気になるが、直秀の正体を知った道長がどう動くのかも気になるところだ。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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