『ブギウギ』草彅剛の“流されたくなる”演技の心地良さ “曲者”タナケンが本格登場

『ブギウギ』タナケンとスズ子が出会う

 だが当日、タナケンは約束の時間から2時間遅れで現れた挙句にスズ子が話しかけても完全にスルー。ようやく口を開いたかと思えば、「よく喋るね」とスズ子の空笑いを一刀両断する。「もしや、これは絶対に笑わないタナケンをスズ子がいかに笑わせるかのテストなのか……!?」という可能性が一瞬頭をよぎったが、そうではないらしい。タナケンのマネージャーは「棚橋先生がスズ子に会いたいとおっしゃっている」と言っていたが、実際は“ある人”からスズ子を強く推薦されて仕方なく会ったに過ぎなかった。

 スズ子を強く推薦……この時点で多くの人が気づいたと思うが、その“ある人”とは羽鳥善一(草彅剛)。さほど本人がその気ではなくとも、彼なら「タナケンが会いたいって」とか言ってマネージャーに連絡を取らせるだろう。今回の行き違いが発生した経緯が容易に想像できるのは、善一がこれまでもそうだったから。彼には決して強要していないのに、なぜか自分の要求を押し通すだけの不思議な力が備わっている。それなのに横暴な感じが一切しないのは、草彅のどこ吹く風なひょうひょうとした演技が心地良いから。ついつい流されてしまいたくなってしまう。

左から、福来スズ子(趣里)、羽鳥善一(草彅剛)。 タナケンの稽古場にて。稽古場に現れた善一と話すスズ子。

 スズ子も、善一から「これは君にしか歌えないリズムなんだ」と舞台のために新しく書き下ろした楽譜を嬉々として渡された手前、そう簡単に退くことはできなくなってしまった。そこに山下の援護射撃もあり、一旦はタナケンからのOKも出る。一悶着あって、ひと通りドタバタした後、話が綺麗にまとまるこの流れは何やら久しぶり。小夜の行方や愛助の体調など心配事は尽きないが、ようやくひたすら明るい『ブギウギ』らしさが戻ってきたと実感した回だった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、生瀬勝久、小雪、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
語り:高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー) 
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
音楽:服部隆之
主題歌:中納良恵 さかいゆう 趣里 「ハッピー☆ブギ」
写真提供=NHK
公式サイト:https://nhk.jp/boogie

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