草彅剛の優しい演技から溢れる熱いパッション 『ブギウギ』涙を誘った羽鳥と家族の再会
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第15週となる「ワテらはもう自由や」が放送された。戦争が終わったことで、スズ子(趣里)らの境遇はまたも大きく変化していく。スズ子に公演依頼が相次いだこと、「福来スズ子とその楽団」が解散に至ったことなど、この作品にとっても一つのターニングポイントとなる出来事が続くのであった。
第15週でのスズ子とりつ子(菊地凛子)の圧巻の歌唱シーンは視聴者の心を魅了する。しばらく戦時下だったこともあり、スズ子自身も「久しぶりのパフォーマンス」と話していたが、私たちにとっても久々の「ラッパと娘」には、思わず気持ちが高揚する。
その一方で、忘れてはならないのが羽鳥(草彅剛)の存在だ。羽鳥は、戦時中もずっと音楽の力を信じ続けていた。陸軍の報道班員として出向いた上海では日中合同音楽会の準備を進め、中国人作曲家の黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」に日本人の羽鳥がアメリカのブギのリズムを取り入れる提案をするなど、新たな音楽の可能性を探り続ける。スズ子やりつ子同様に、羽鳥もまた、上海の地で音楽と向き合い続けていた。音楽は何ものにも縛られることなく自由であり続けるべきで、誰しもそれを奪ってはならないという強い思いがあったのだ。
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やがて日本は敗戦国となり、羽鳥は現地に3カ月間拘束されたのち日本に帰還することに。愛する家族との対面は、観ているこちらも思わず涙が溢れるようなシーンとなった。普段はどこかひょうひょうとしたところのある羽鳥だが、我が子との再会、そして新たな命の誕生に、「僕にもしものことが合ったら化けて出るしかないからねえ」などと冗談を言って笑みを浮かべる。その瞳には涙が……。「笑い事じゃありません」と麻里(市川実和子)から一喝されながらもおいおいと泣き、家族で抱き合う姿には、家族のかけがえのなさを感じると共に、羽鳥が戦争を乗り越えた実感で胸がいっぱいになった。