【ネタバレあり】『単身花日』最終話で明かされた花の壮絶な過去 最後まで惑わせる展開に
『単身花日』(テレビ朝日系)が始まったころは、花(新木優子)はゆり子(高梨臨)から舜(重岡大毅)を奪おうとしているものだと思っていたし、片山(田中樹)は花の不倫相手に見えていた。男女の間に強い執着心があるのなら、そこには必ず恋心が芽生えているはずだ、と。しかし、“愛”にはいろいろな種類がある。
まず、花は舜とゆり子の関係を壊そうとしていたわけじゃない。「叶うなら、2人の間に生まれてきたかった。2人がパパとママだったら、どんなにいいだろう」。ポツリとつぶやいた花の言葉に、嘘はなかったと思う。花は、舜のそばにいることを望みながら、あくまでプラトニックな関係を保ってきた。初恋を殺せずにいたのは、舜の方だったのかもしれない。
また、最終話では花の壮絶な過去も明かされた。実の父親が目の前で殺されて、新しくできた父親には虐待まがいのことをされた。大人になって家族との縁が切れたと思ったのに、今度は結婚相手の健一が暴力を振るうようになる。舜にそっくりな顔をしている健一は、花が自分を通して別の男の面影を追いかけていることに気づいてしまったのだ。「お前と、ここで死ぬ!」と言いながら刃物を向けられたとき、花はとっさに健一を刺し殺してしまった。
「いいか、忘れるな。お前は、なにもやってない」
片山は、花をかばうために自ら死体遺棄の罪をかぶった。ずっと一緒に暮らしてきた仲良しの兄妹なら、理解できる。しかし、片山と花は異母兄妹で、別々の家庭で育ってきた。正直、「ここまでするか? 花に対して、恋心に近いものがあるのでは?」と思ってしまった瞬間もある。
だが、田中樹の真剣な瞳を見ていると、純粋に兄として妹を守ってきたのだな、と感じることができた。「お前が、花を守ってくれると思った」と言いながら、舜を見つめたときの表情。そこには、嫉妬やライバル心などは存在しない。ずっと守ってきた大事な妹が自分の手を離れていく切なさと、心の底から安心する気持ちが入り混じっているような顔をしていた。バラを口にくわえたり、急に水をぶっかけたりと、ヘンテコな行動も多かったけれど、本作の登場人物のなかでいちばん人情深かったのは彼なのかもしれない。片山はまるで親のような愛情で、花を見守ってきたのだ。