『ブギウギ』趣里の透明感ある歌声と共鳴する歌詞 「センチメンタル・ダイナ」を解説

『ブギウギ』センチメンタル・ダイナを解説

 思いがけないところから始まった恋にときめきながらも、初めて経験する恋愛の駆け引きに苦悩するスズ子(趣里)。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第7週「義理と恋とワテ」では、松永(新納慎也)のキスをきっかけに恋心を抱いたスズ子が、松永から梅丸楽劇団(UGD)のライバル会社である日宝への移籍話を持ちかけられ、義理と恋の間で揺れ動く姿が描かれている。

『ブギウギ』左から、田中部長(高阪勝之)、大林社長(利重剛)、福来スズ子(趣里)、松永大星(新納慎也)。 料亭・和室にて。松永からある人物を紹介されるスズ子。

 今週のテーマに沿って披露される楽曲であり、スズ子にとっても新たなスタートを決意する楽曲となっているのが「センチメンタル・ダイナ」だ。1940年にリリースされた同曲は藤村薫(宮本亞門)のモデルである野川香文が作詞、羽鳥善一(草彅剛)のモデルである服部良一が作曲し、スズ子のモデルである笠置シヅ子が歌唱した名曲である。羽鳥とのタッグで言えば「ラッパと娘」に続く2曲目の楽曲だ。第6週ではテンポの速いスウィングを用いた「ラッパと娘」が軽やかに響き渡り、何度も繰り返される「バドジズデジドダ」のようなスキャットに釘付けになった視聴者も多かったのではないだろうか。

 だが、「センチメンタル・ダイナ」に関してはスズ子らしい陽気な歌ではなく、恋に苦しみもがきながらも歌い続けるスズ子の決意が表現された哀恋の楽曲だ。第7週では、スズ子は“スウィングの女王”として名を馳せる人気歌手となっていたが、同時に恋の悩みを抱えていた。ジャズのコツが上手く掴めずにいたスズ子に対し、松永は「毒でも食べちゃいそう」とスズ子をチョコレートで心を満たしてくれたいわばやすらぎの存在だった。スズ子にとってこれが初めての恋愛。義理と恋の間で葛藤していたスズ子は日宝への移籍話がUGDに漏れてしまったことから松永に告白することを決意するが、松永にはアメリカに愛する人がいることが明らかとなる。

 義理と恋に破れ傷心するスズ子を待っていたのが藤村と羽鳥だった。2人はスズ子が移籍話で悩んでいることを知りながらも、戻ってきてくれると信じていたのだろう、新しい曲を作っていたのだ。そして、スズ子は羽鳥の歌を歌うためにUGDに残ることを決意する。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる