水川あさみが考える、役者としての理想的な在り方とは ドラマと映画での“違い”の意識
作品の素晴らしさを観ている人に繋げることが役者の役割
ーーそれこそ水川さんは、“撮る側”として短編映画のオムニバス作品『MIRRORLIAR FILMS Season4』では監督を務めていらっしゃったこともありますよね。
水川:もともと自分が監督業をやらせてもらうとは思ってもみなかったんですけど、それこそ山田(孝之)くんのお誘いでやることになりました。監督をやって思ったのは、1番密接に関わる監督の仕事について、「自分は全然知らなかったんだな」ってこと。だから、やってよかったなと思うんです。物理的・体力的な苦労ももちろんあるし、何を作りたいかを明確に伝えるコミュニケーション力、全てにおいての責任感。簡単に言うと、とにかくいろんな“大変さ”を監督が抱えていることを、それまで全然知らなかった。
ーー数分の映像でも相当な時間をかけて制作をすることも珍しくないですし。
水川:それにもびっくりしました。たった15分のショートムービーなのにもかかわらず、「こんなに大変なんだな」って。「じゃあ2時間、3時間なんてなった時には?」って考えちゃいますよね。よくいろんな監督が「これは10年前から構想してた」なんて言うけど、「そりゃそうだよな」と。そういう裏側を知ってるようで、ほとんど知らない。私にとってはいい経験でしたね。
ーー「演技に活かす」という点では、監督業を経験してからの変化はありましたか?
水川:作品との関わり方において、 ちょっと視野が広がった気はします。それ以前も、意図をちゃんと理解してたとは思ってたけど、もっと深いところで理解して、関わっていけることに気づきました。
ーー本作の伊藤プロデューサーが代表を務める《and pictures》は映画作りを通して地方創生を実現しています。最後に、水川さんがエンターテインメントを通じて、実現したいことを教えてください。
水川:成し遂げたいこと……も、正直あんまりないかな(笑)。私が何かをしたいからお芝居をしてるのではないというのと、作品の素晴らしさを観ている人に繋げることが役者の役割だと思うから。自分が何かを成し遂げたいことよりも、素晴らしい作品の一部になりたい気持ちの方が強いんです。 そう思える作品に、携われる役者であり続けたいです。
■公開情報
『唄う六人の女』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、大西信満、植木祥平、下京慶子、鈴木聖奈、津田寛治、白川和子、竹中直人
監督・脚本・編集:石橋義正
脚本:大谷洋介
音楽:加藤賢二、坂本秀一
主題歌:NAQT VANE「NIGHTINGALE」(avex trax)
制作プロダクション:クープ/コンチネンタルサーカスピクチャーズ
制作協力:and pictures
配給:ナカチカピクチャーズ/パルコ
©2023「唄う六人の女」製作委員会