『コタツがない家』は鑑賞後に深みが増すタイトル 小池栄子と“ダメ男”たちが最高の相性

鑑賞後に深みが増す『コタツがない家』

 小池栄子が主演を務めるドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)が、10月18日よりスタートした。

 本作は、生田斗真が主演を張った2019年放送のドラマ『俺の話は長い』(日本テレビ系)のスタッフ陣が再集結した作品。『俺の話は長い』で第38回向田邦子賞を受賞した脚本の金子茂樹に、演出の中島悟、プロデューサーの櫨山裕子らが名を連ねている。

 『俺の話は長い』にも出演していた小池が今回、櫨山の強い後押しもあり、民放ゴールデンプライム帯の連続ドラマで初の主演。『俺の話は長い』の雰囲気がこの『コタツがない家』にも色濃く継承されている(ちなみに『俺の話は長い』は一時期Huluでも配信されていなかったが、現在は『コタツがない家』放送記念としてTVerでも手軽に楽しむことができるようになっている)。

 櫨山のコメントにもあるが、『コタツがない家』は『俺の話は長い』の岸辺満(生田斗真)が3人いる状態。漫画家廃業寸前の夫・深堀悠作(吉岡秀隆)、アイドル志望の不登校息子・深堀順基(作間龍斗)、熟年離婚をした独り身の父・山神達男(小林薫)とそれぞれ対立しながらも主婦として、一方ではウェディングプランナーとして深堀万里江(小池栄子)がさまざまなトラブルと立ち向かいながら、新しい家族の形を探していくホームコメディである。

 物語冒頭、悠作が流し台に放置した発泡酒の空き缶をゆすぐ万里江の姿はまさに夫婦を、ひいては本作を象徴するシーンだ。そんな細かなセリフや芝居、セットを持ってして、公式サイトで公開されている設定以上の余白がじんわりと埋められていくのが、このチームの作品の魅力だろう。

 第1話でのハイライトは、達男を交えて久々の家族での食事となるつもりが、徐々に不和が生じていく場面だ。那須の山奥で命を絶とうとしていたところを警察に保護された達男。料理も洗濯も得意なのに女房に捨てられてしまった、という愚痴は明らかに悠作へと向けられたものだ。晩酌を断り、さっさと栃木の家に車で送り返そうとする悠作に対して、達男は栃木の家をすでに解約していることを打ち明ける。数時間前まで父の姿を見て、瞳にいっぱいの涙を浮かべていた万里江の表情も一変。そこからダメ男3人と一家の大黒柱である万里江の丁々発止のやり取りがスタートする。

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