『らんまん』が描く夫婦の在り方 夢のために奔走する“縁の下の力持ち”の活躍

『らんまん』が描く夫婦の在り方

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第24週となる「ツチトリモチ」が放送された。万太郎(神木隆之介)は変わりゆく日本の様子に戸惑いつつ、自然が軽んじられている現場に行き場のない感情を抱いていた。一方で、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)は、藤丸(前原瑞樹)からアルコールの発酵に酵母菌が関わっていることなどを聞き、酒が火落ちしなくなるための仮説を立てた。これをきっかけに、竹雄と綾と藤丸は沼津に移って酒造りを始めることに。

 物語が終盤に近づくにつれ、夫婦の愛がどれほどかけがえのないものなのかを痛感する。『らんまん』は、物語全体を通してパートナーの夢のために奔走する人たちの姿を印象的に描いてきたのだ。

 一番にそれを感じたのは、もちろん万太郎と寿恵子(浜辺美波)夫婦だろう。万太郎が心置きなく植物学の研究を進められるように、寿恵子はこれまでずっと並走し、時に自らが行動に出た。万太郎のために石版印刷機を買う決断をし、お金のために自分の大切なものを質に入れ、借金取りを言いくるめる。今回もアルミニウムを使った印刷機を誰よりも欲しているのは寿恵子だ。それがあれば万太郎の夢がまた一歩、大きく前進することを誰よりも理解していたのだ。今は渋谷で待合茶屋「やまもも」を営み、寿恵子自身が収入を得ることで万太郎がやりたい研究を優先させられる環境を作っている。

 作品の後半にかけて描かれた竹雄と綾夫婦もまた、万太郎たちを思い起こすような関係性だった。元々は万太郎を支えていた竹雄だけに、大切な人を応援してサポートすることにおいては右に出る者がいない。万太郎の“相棒”を寿恵子にバトンタッチしてからは、夫として綾の夢である酒造りを誰よりも応援している。そのために修行をして料理を学び、土佐料理の屋台をはじめ、綾がまた酒造りに戻れるように試行錯誤していた。そんな時、藤丸が酵母菌の研究をはじめてくれたことで再び酒蔵を持つ夢が一気に現実味を帯びる。藤丸の助けもあり、綾が「おなごだから」峰屋の酒を火落ちさせてしまったのではないとわかった今週。綾にとっても、気持ち新たにスタートを切れることになっただろう。

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