『最高の教師』茅島みずきの“一匹狼感”漂う孤独のリアル 達観した役は『明日カノ』でも
ネクストブレイク俳優が勢揃いの『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系/以下、『最高の教師』)。その中でも、スクールカースト上位に君臨し、女子生徒の中での“ラスボス感”をたっぷり漂わせているのが西野美月(茅島みずき)だ。
一番後ろの席でクラスメイトを見渡し、つまらなさそうにスマホをいじる西野。彼女の一挙手一投足が周囲を緊張させ、「この人の機嫌を損ねてはいけない、嫌われてはいけない、切り捨てられたくない」と暗に思わせる支配力や凄みがある。直接的に何かを指示するわけではないものの、周りが彼女の意図を汲み取って先回りして動こうとしてしまう。そんなに言葉数は多くはないものの、長身で大人びた雰囲気の茅島ゆえに、あの風格が出せているのだろう。視線一つで語れてしまえる、相手を黙らせてしまえる、感情を乗せられる。
生まれ持っての恵まれた家庭環境に容姿が備わっており、欲しいものは全て簡単に手に入る。周りに友人という名の序列関係がある者を従え、自分の本心は明かさず、何だか満たされない空虚の中を“そんなもの”だとやり過ごしている。そんな節が、もしかすると西野にもあるのかもしれない。
自分の周囲にいる人は自身が持つわかりやすい“記号”に惹かれてなびいているだけで、近くにいることで自身のステータスも上げられると思って近づいているだけだと、そんなふうに思っているのかもしれない。わかりやすい“ギブアンドテイク”を利用しながらも、もしかすると辟易しているところがあるのかもしれない。
バックボーンは異なるものの、一匹狼で誰かに弱みを見せることを苦手とし周囲を簡単に寄せつけないのは『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS・TBS)シーズン2で演じた相馬留奈役も同じだ。時にその年齢に相応しくない達観ぶりは切なくなることさえあったが、バイトを全うするために凍らせたはずの“プロ意識”に徹する心が予想外にできた彼氏の存在によって揺さぶられ戸惑う様子は、非常にリアルだった。
茅島は“本当は平気じゃないのに平気に見せる振りが上手い”女子役を演じることが続いているようにも思える。西野も留奈も誰かに理解してもらえるなんてはなから期待していない。最初から傷つかないように、他人に心を大きく動かされてしまうことがないように自ら周囲を遠ざけ、期待値コントロールをしているようにも見える。だからこそ、『最高の教師』での西野は自分が退屈しのぎに高みの見物をしていたはずが、モブキャラだと思っていたクラスメイトらがどんどん前向きにたくましく変化していく姿が面白くなく、そして実際には自分だけが置いていかれそうで怖いという思いもあるのかもしれない。