『らんまん』万太郎の無邪気さと父性を両立した神木隆之介 自然と父になりゆく演技の妙
万太郎は父親の顔を知らないが、同じ境遇で自身も父親になったのがNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(以下、『いだてん』)で神木が演じた落語家・志ん生(ビートたけし)の弟子・五りんだ。恋人である知恵(川栄李奈)が産気づき運ばれた病院まで駅伝落語を口にしながら駆けつけ、この演目名になぞらえた名前を娘につける。五りんはどこか万太郎と近しいエピソードを持つキャラクターだったように思う。
また、『いだてん』同様、宮藤官九郎脚本『11人もいる!』(テレビ朝日系)では、18歳の主人公・真田一男役を熱演し、高校生ながらバイト先の先輩との間に長男をもうけ若い学生パパになっていたのも懐かしい。ちなみにこの時、一男の父親役を務めていたのが『らんまん』では万太郎の憧れの人物で博物館の植物学者・野田基善役の田辺誠一だった。
さて、万太郎の無邪気さからくる悪気のない配慮に欠けた言動が、さらに他の追随を許さぬ植物への圧倒的な熱中ぶりが田邊教授(要潤)との距離をまた遠ざけてしまった。寿恵子のお腹の中には新しい命も宿っている。万太郎が変わらず“守るものが増えて幸せ”だと言えることを祈らずにはいられない。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK