『転職の魔王様』が問いかける幸せな転職 早見あかりが気付いた“人並み”と違う“正解”

『転職の魔王様』が問いかける幸せな転職

「女性の人生設計って難しいよね。結婚するかしないか、子どもを産むか産まないか、仕事を続けるか辞めるか」

 転職はライフプランと密接に関連する。生きがいや家族計画はもちろん、老後に振り返って自分の人生が満足のいくものだったかを考える上でも、自らの選択で仕事を変えた経験は後々まで影響する。ひと昔前と比べれば、仕事と子育てを両立できる環境は整ってきたが、様々な事情から女性の方が男性よりも制約が多く、それらは転職に際して顕在化する。

 『転職の魔王様』(カンテレ・フジテレビ系)第2話で相談に訪れたのは、派遣社員の宇佐美由夏(早見あかり)。大学卒業後10年間、派遣社員として働いてきた由夏は、契約終了を機に転職活動を始めたが、どこか乗り気ではない様子。由夏が消極的だったのは、同い年で交際中の渋井(味方良介)の存在が理由にあった。

 「幸せな転職」が第2話のテーマだった。30代前半で彼氏持ち、今の職場と派遣社員という立場に満足しているわけじゃないけど、高望みしても大幅な年収アップは望めないし、それなら今の彼と結婚して夫婦共働きで身の丈に合った生活を送れれば、それはそれで幸せなんじゃないか。そう考える由夏は、同年代の多くの女性を代弁しているかもしれない。けれども、そんな由夏のかすかな希望は、交際相手の一言であっけなく踏みにじられた。

 転職限界年齢は男性35歳、女性だと30歳、未経験業界への転職は25歳まで。いわゆる「35歳限界説」を筆頭に、転職にまつわる数字はなかなかシビアだ。数字で線引きされると望みがないように感じられるが、これは表向きのもので“裏スペック”なる基準もある。求人票に載らないが企業側が求める人材像に当てはまれば、一概に年齢が超えているからと言って希望がないわけじゃない。とはいえ、あくまでこれは例外。コストをかけて採用する企業は即戦力で社風にマッチする人材を求めているため、とうが立った求職者に声がかかることは多くない。

 求職者の相談に親身に耳を傾け、徹夜で求人情報を探す千晴(小芝風花)を見ていると、こんなキャリアアドバイザーがいたら求職者はさぞ心強く感じるだろうと思った。ただ、それが結果に結びつくとは限らない。無責任な精神論で「変に焚きつけて長期間内定が出なくてもいいんですか」と来栖(成田凌)は千晴に言い、エージェントとして現実的な対応を指示した。

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