生田絵梨花は“元カノ役”にふさわしい魅力がある 『こっち向いてよ向井くん』での存在感
乃木坂46時代からミュージカル俳優として実績を残してきた生田は、表情や眼差しで感情を伝える演技がうまい。そして、本音を隠して相手を元気づけたり、“弱みを見せない演技”をしている演技、そうした日常生活でよくある仕草など等身大の役になればなるほど自然に見せてくるところが、役者としての真の魅力だ。つまり、本音が分かりにくい等身大の彼女を巧みに演じられるということにもなる。“いい人”をリアルな質感で演じられるので、『PICU』の時のように「あの時にこうしてればよかった」と思わせる元カノを演じるのは、まさにハマり役だ。
美和子というキャラクターに関してはこれから徐々に分かってくると思うが、これまでの生田のイメージと変わらず、明るく等身大の女性になるのだろう。これから向井くんが恋する魅力的な女性がたくさん登場する中で、それでも忘れられない彼女として魅力的な印象を与えなければいけない。初回放送では、楽しかった時代を変に大袈裟な演技をしてない普通さが、逆にかけがえのないもどかしさを感じさせた。しかし、今後は美和子の本音も見えてくると思うので、向井くんに対して冷めていく心理や、本音の裏の顔の演技が出てくるはず。ラブストーリーが初だという生田がそこをどう演じてくるのか興味深い。今作の面白いところは、これまでの恋愛ドラマで描かれそうな主人公の価値観にことごとくダメ出しをしていくところにある。
また、原作では現代にも美和子が登場し向井くんと絡む。ドラマはまだ分からないが、もし登場したら現在26歳の生田が33歳を演じることになる。現代の美和子は、やはり思い出の中の人として美化され、「やっぱり合わないわこの人と」という目線のクールな大人の女性を演じるのか、もしくは美和子も後ろめたさがあるのか。強いて言えば、美和子がこの10年でどんな恋愛をしてきたのか、それにより向井くんの評価も変わり、恋愛の価値観も変化するはず。
今作は、決して結婚がゴールではないという多様化した現代の価値観を描いてる作品でもあるので、そうした価値観を元から持っていた女性というのも、生田だからこそ等身大のリアリティを感じさせるはず。悪女だった場合も、そのギャップでリアルな怖さを演じられるだろう。
原作はまだ連載中なので、ドラマはどこに着地するかは分からない。復縁するかも知れないし、性別を超えたドロドロの恋愛劇に発展したり、事実婚という選択肢もある。その中で、生田がどんな演技を見せてくれるのか注目していきたい。
■放送情報
『こっち向いてよ向井くん』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:赤楚衛二、生田絵梨花、岡山天音、藤原さくら、財前直見、森脇健児、内藤秀一郎、上地春奈、岩井拳士朗、若林時英、田辺桃子、久間田琳加、市原隼人、波瑠
原作:ねむようこ『こっち向いてよ向井くん』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:渡邉真子
演出:草野翔吾、茂山佳則ほか
音楽:FUKUSHIGE MARI
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:鈴木将大、柳内久仁子、妙円園洋輝
協力プロデューサー:福井芽衣
制作協力:AX-ON、ダブ
製作著作:日本テレビ
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