山田杏奈が考える、役者を続けていく上で大切なこと 「我慢してまでやることはない」
2013年に女優デビューを果たしてから10年。映画やドラマなど数多くの作品に出演し、その存在感を発揮してきた山田杏奈が、「ひとり分の人生を生ききったような疲労感と達成感のある撮影期間でした」と語るのが、人々から蔑まれながらもたくましく生きる主人公・凛を演じた映画『山女』だ。海外スタッフも多く参加したこの作品で、彼女は何を思い、何を感じたのか。自身の過去と未来も含めて、話を聞いた。【インタビューの最後には、コメント動画&サイン入りチェキプレゼント企画あり】
“耐える”よりも“逃げ出してしまう”タイプ
ーー国際共同製作ということもあり、『山女』は日本映画ではあまり観たことのないような作品でした。
山田杏奈(以下、山田):私も最初に脚本を読んだときは、世界観自体は『まんが日本昔ばなし』のような印象を受けたのですが、実際はそういう感じが全くしなくて、すごく新鮮でした。なおかつそれを海外のスタッフの方たちと一緒にやるということに不思議さを感じていて。実際に完成した作品を観たら、やっぱり日本人には撮れないような森の撮り方をしているんですよね。そういうところも含めて、時代ものではあるけど、そうではない、定石を覆すような映画だなと思いました。
ーー確かに森の撮り方は印象的でした。ライティングの暗さも含めて、なかなかチャレンジングなことをしているなと。
山田:本当に真っ暗な中でやっているんですよね。カメラマンのダニエル(・サティノフ)は海外の方で、照明の宮西(孝明)さんはずっと京都で時代劇をやっていた方で。そういう違うものを撮ってきた方たちの融合も、個人的にすごく素敵だなと思いました。
ーーこれだけ海外スタッフの方が参加されている日本映画も珍しいですよね。
山田:そうなんですよね。カメラマンのダニエルもプロデューサーのエリック(・ニアリ)もそうですし、福永(壮志)監督も長いこと海外にいらっしゃったので、英語が飛び交う撮影現場でした。カメラが回るときも「ロール!」と言うので、すごく新鮮で。みんな英語で会話していたので、私もなんとなくわかるようになりました(笑)。
ーー山田さんが演じられた凛は、人々から蔑まれながらもたくましく生きる女性です。
山田:本当に過酷な環境、家に生まれた女性ですが、映画として彼女をずっと追っていく中で、どこか希望を託せるようなキャラクターにしたいという思いはずっとあって。彼女は大変な状況に追い込まれていきますが、でもずっと諦めないし、強さがあると思うんです。だから可哀想に見えるだけにはしたくありませんでした。ああいう環境に置かれても折れない心だったり、眼差しの強さだったりは、自分の中でもかなり意識しながら演じていました。「くそうッ!」て思っている感じがいいなと思って。
ーー眼差しの強さはものすごく印象的でした。山田さん自身も普段からそう思ったりすることはあるんですか?
山田:「くそうッ!」て思うことですか? ありますよ(笑)。
ーー何か辛いことがあっても耐えて乗り越えるというか。
山田:でも、私は耐えるというより、もうそこから離れる選択をしてしまうことが多いですね。すぐ逃げてしまいます(笑)。
ーーどうしても逃げられない状況だったらどうするんですか? 例えば、ものすごく辛い役をやらなきゃいけないときとか、大変な仕事があったときとか……。
山田:仕事に関しては、今まで逃げたいと思ったことはないかもしれないです。我慢してまでやることはあまりないかなと。でも、やったこともないのにやらなきゃいけないような絶対無理なこと、たとえば「『紅白歌合戦』に出て歌ってください」とか言われたら、「無理です。できません」ってはっきり断ります(笑)。
ーー受ける段階で判断されているわけですね。
山田:なんとなく受けてしまったら逃げられない状況になってしまうので、最初の段階で「無理です」って言いますね。自分にとって、絶対にプラスにならないこともあると思うので。でも、役に関しては基本的になんでもやるようにしています。