『それパク』芳根京子は役の解釈が秀逸な俳優だ 重岡大毅との絶妙なバランス感

『それパク』芳根京子は役の解釈が秀逸

 “水と油”の2人の行方が気になる『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)。月夜野ドリンクの開発部員から知的財産に関わる業務を担当することになった藤崎亜季(芳根京子)と、親会社から派遣されてきた「弁理士」の資格を持つ知財のプロフェッショナル・北脇雅美(重岡大毅)の2人の絶妙なバランス感が観ていて楽しい。

 理系出身者の集まりである開発部には珍しいと思うが、亜季は「たわわわん」「きゅるんきゅるん」「じゅわわわわ」など擬音語を多用する感覚派。要領は決して良くはなく、そして“自分”を主語にしてやりたいことを話すのは苦手なタイプだ。しかし、高校時代のソフトボール部での万年補欠選手としての経験もあって、周囲をよく見ており、“周り/相手”のためにとなれば「こうしたい」「こうであればいいのに」が次から次に溢れ出てくる。

 自分に対しては自信がなさげで所在ないところがあるものの、誰かを応援する立場になると本人以上にその相手のことを信じ抜ける力がある。そんな亜季の心からの言葉は、自信を喪失し投げやりになっていた開発部の同期・窪地(豊田裕大)にそっと寄り添い、自身の本心に気づかせる役割を果たしていた。

 ロジカルで合理的、無駄を嫌う北脇は亜季とは正反対で、最初は交わらなかった。しかし、実は彼が元々は親会社の開発部で熱心な研究員だった過去が明かされ、亜季と同じキャリアを歩んでいることがわかる。研究員として良きライバルであり親友でもあった南(吉村界人)の“汗と涙の結晶を守る”のが自身の役割だと、知財部への急な異動を申し出たという北脇と、サポーター気質で“人のため”であればとことん頑張ることができる亜季は根本の部分で似通っているのだろう。北脇も「僕には弁理士としての才覚がある。藤崎さんにもあるかもしれない」と話していた。

 最初は、ともすれば冷たくビジネスライクに何事も割り切っているかに見える北脇の方針を相入れないと思っていた亜季だが、なんだかんだそんな北脇から仕事を任せてもらえると嬉しいし、彼の過去を知るにつれ自分から見えている北脇だって一面に過ぎないのではないかと思い始める。第6話では学生たちを前に「これはビジネスなんです。ビジネスに正義なんてありません!」とそのまま北脇を宿したかのような発言をし、その後本人の前で思いっきり落ち込んでいたところまで含めて、彼ららしい微笑ましい関係性が描かれていた。そしてその関係性は互いの足りない部分を補い合う形で確実に影響を及ぼし合いながら変化し続けていることを物語っていた。

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