横山裕が原作を忠実に再現した『コタローは1人暮らし』 コタローが真実を知る日は来る?

『コタローは1人暮らし』横山裕の原作再現度

 原作に忠実な実写化作品としても好評を得た本作だが、とりわけ狩野は、横山以外に演じられる人はいないと思うほどにハマり役だった。スウェットにサンダル、ボサボサの金髪姿でけだるそうに歩く横山の姿は原作の狩野そのもの。そして横山裕という俳優は、時折、瞳に影を落とし、寂しげな空気をまとう。それが、狩野進というキャラクターにこれ以上なくハマっていた。

 すぐムキになり、5歳のコタローと真剣に喧嘩をするほど子どもっぽい狩野だが、単純に見えて思考は深い。コタローを過剰に子ども扱いせず、いち人間として向き合うところも狩野の良さだ。けれどコタローの一番近くにいる大人として、常に隣か後ろを歩き、さりげなく手を貸す。1人ではなく、一緒に強くなろうと言う。コタローと出会い、強く優しくなった狩野は、コタローを思って一つの大きな嘘を背負った。果たして続編では、コタローがこの「嘘」の真実を知ることになるのだろうか――。

 続編制作の発表を受け、まず驚いたのは、コタローを演じる川原瑛都の健やかな成長ぶり。記者発表会では、いち俳優としても大きくなった川原について、キャスト陣からジョーク交じりの誉め言葉が飛び交った。ぷっくりとした柔らかそうな頬は変わらずチャーミングだが、続編では、コタローが小学生になっている。送り迎えや弁当作りが不要になったことで、どうやら「アパートの清水」の住民たちは寂しい日々を過ごしているよう。狩野や、“コタローきゅん”を溺愛する田丸(生瀬勝久)が、手持ち無沙汰になっている姿が目に浮かぶ。

 2021年放送分では、いまだ明かされていない真実や、実写化されなかった部分はあるものの、一つのあたたかなラストを迎えた。ゆえに続編はどこまで、どのように描かれるのかも気になるところだ。初回放送は1時間に拡大した特別版。ときにドタバタ劇に笑い、ときにホロリとしながら、2021年のあの春のように、今春も視聴者と優しさを分かち合いたい。

■放送情報
『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』
テレビ朝日系にて、4月15日(土)スタート 毎週土曜23:00~23:30放送
※初回は30分拡大(23:00~0:00放送)
出演:横山裕、川原瑛都、山本舞香、百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、松島聡(Sexy Zone)、白洲迅、大倉孝二、光石研、滝藤賢一、イッセー尾形、生瀬勝久
原作:津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館『ビッグコミックスペリオール』で連載中)
脚本:衛藤凛
音楽:篠田大介
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)、小田彩(アズバーズ)、小林麻衣子(テレビ朝日)
監督:飛田一樹、樹下直美ほか
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
©︎テレビ朝日

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる