Netflix『君に届け』、映画版との違いは? 南沙良×鈴鹿央士がみせた“誤解”とその先
卒業・入学シーズンが落ち着いて、花々の香りが漂う季節になってきた今にふさわしいNetflixシリーズ『君に届け』が配信されている。
集英社『別冊マーガレット』連載コミック原作の本シリーズは、主人公・黒沼爽子が高校に入学するところから始まる。物静かで長い黒髪が特徴な彼女は、周りからは「貞子」と言われ怖がられていた。しかしそんな彼女の周りには、個性を理解し気にかけてくれるかけがえのない友人たちが増えていく。
原作は11年に渡り連載され、2010年には三浦春馬と多部未華子主演で実写映画化された。映画で印象的なのは“一日一善”をモットーに学校生活を過ごす爽子(多部未華子)の姿。それを見ていた風早(三浦春馬)は、噂を笑い飛ばし爽子に次第に惹かれていく。今回はドラマシリーズということもあり、映画よりも詳しく彼女たちの高校3年間を映し出している。
今作で黒沼爽子を演じた南沙良は、『女神の教室〜リーガル青春白書〜』(フジテレビ系)で目標のためなら無駄なことはしないツンツンした照井雪乃を演じていたが、今回の爽子は180度違う性格だ。心優しいけれど無視されることに慣れてしまっていて、少し天然な性格。前作で爽子を演じた多部未華子も漫画から飛び出してきたような演技を見せたが、南もまた違った爽子の魅力を体現した。ぬくもりを感じる声に、クスっとしてしまうようなズレた感覚、「頑張れ!」と応援したくなってしまうようなほっこりしたキャラクターだ。
風早翔太を演じた鈴鹿央士は、『六本木クラス』(テレビ朝日系)で長屋ホールディングスの次男・長屋龍二を演じ、ドラマ『silent』(フジテレビ系)ではヒロインの青羽紬(川口春奈)と交際していた戸川湊斗役を務め“理想的な彼氏”のイメージにぴったり当てはまっていた。今回も優しさあふれる、誰からも人気の教室の中心的男子を演じている。
実写化は少し違和感を覚えてしまったり、観客が恥ずかしくなってしまったりするようなセリフ回しが多い印象だが、本作はキャストの自然さもあってか、漫画そのものに入り込んだようだった。爽子と風早の関係だけではなく、同じクラスのあやね(久間田琳加)、千鶴(中村里帆)、龍(櫻井海音)たちの恋模様もメインストーリーとも言えるほどの内容の濃さで楽しめる。
“爽子”と“風早”という名前の通り、どこからともなく感じる“爽やかさ”も本作の醍醐味。爽子が風早の印象を「全身爽やかで出来てますって感じで……」と話していたほどだ。本人は全く爽やかなんかじゃないと言っていたけれど、純粋に交差する2人の気持ちに加えて、背景に映る雪山や透きとおる海、花壇の花々が雰囲気を明るく、清々しい気持ちにさせてくれる。