高校生よ!『ザ・ホエール』を今すぐ観に行け 自由な人生を歩むヒントがそこにある

高校生よ、『ザ・ホエール』を今すぐ観に行け

 この物語の最後には大きな感動が待っている。そこで描かれている感動は『ザ・ホエール』監督のダーレン・アロノフスキーによる『ブラック・スワン』(2010年)と同質のものだ。“自己の生を全うする”登場人物たちの姿に感動し、純潔な精神性による解脱のような表現に打ち震えた。思えば、リチャード・バック著『かもめのジョナサン』(新潮社)を読んだときにも同様の衝撃があった。あのラストをどのように捉えるか、実際に劇場で目撃してほしい。

 さて、私は本作を観終わったあと、この作品は純粋無垢な高校生たちに観てほしいと感じた。ものごとの分別がしっかりとつくようになって、世の中の“当たり前”とそうでないことが理解できるようになって、人生を上手く生きるコツみたいなものを掴み出した高校生たちに。不器用ながらもチャーリーが貫いた想いが伝わるのならば、こんなに素晴らしいことはないと思うから。もちろんアラサーの筆者も、試写室の隅っこで涙が止まらなかったことを記しておく。

映画『ザ・ホエール』予告編(受賞ver.)

参考

・岡本太郎『今日の芸術』(光文社)
・吉本ばなな『High and dry (はつ恋)』(新潮社)

■公開情報
『ザ・ホエール』
TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディー・シンク、ホン・チャウ、タイ・シンプキンス、サマンサ・モートン
監督:ダーレン・アロノフスキー
原案・脚本:サム・D・ハンター
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
2022年/アメリカ/英語/117分/カラー/5.1ch/スタンダード/原題:The Whale/字幕翻訳:松浦美奈/PG12
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