『ジョン・ウィック』第4弾、北米でシリーズ記録更新 長尺の上映時間も杞憂な結果に

『ジョン・ウィック4』北米首位&高評価

 伝説の殺し屋、ジョン・ウィックの快進撃ふたたび。シリーズ第4作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が3月24日に北米で劇場公開を迎え、週末興行収入ランキングのNo.1に輝いた。

 本作は3月24日〜26日の3日間で7352万ドルを記録したほか、海外71市場のすべてで首位を獲得。海外興収は6400万ドル、世界累計興収は1億3752万ドルとなり、北米・世界興収ともにシリーズ史上最高の初動成績となった。

 配給のライオンズゲートによると、第4作にしてシリーズのオープニング記録を更新した映画シリーズは過去40年で9つしかないとのこと。しかも『ジョン・ウィック』のように新作ごとに記録を更新してきた例はそのうち5つのみだから、キアヌ・リーブス演じるジョン・ウィックがその人気を拡大し続けてきたこと、それがいかに稀有なことかは数字が証明している。

映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』特報

 もちろん本作は、ライオンズゲートの配給作品としてコロナ禍で最高の滑り出しを記録。北米興収のみに注目すれば、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』に次いで2023年第2位のオープニング成績となった。また、『ハロウィン KILLS』(2021年)を抜いてコロナ禍に公開されたR指定作品の初動成績を更新したほか、キアヌ・リーブス主演作品としても『マトリックス リローデッド』(2003年)に次いで歴代第2位の初動成績となっている。

 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、おなじみジョン・ウィックの活躍と復讐を描く最新作で、美しいアクションと過激な暴力描写、ダークなユーモアが融合した一作。イアン・マクシェーンや先日この世を去ったランス・レディック、ローレンス・フィッシュバーンが続投したほか、ドニー・イェン、真田広之、ビル・スカルスガルド、リナ・サワヤマら豪華な顔ぶれが新たに加わった。監督はシリーズ全作品を手がけるチャド・スタエルスキ。

 もっとも興行的な最大の懸念は、シリーズ最長となった2時間49分もの上映時間だった。1日で上映できる回数が比較的少なくなるほか、2時間前後の映画より客足が遠のく傾向にあるためだ。『ジョン・ウィック』シリーズの場合、R指定ゆえにファミリー&キッズ層に訴求できないというハードルもある。しかし、週末の成績はそうした心配をたやすく吹き飛ばすもの。1億ドルの製作費もシリーズ史上最高額だが、黒字化もほぼ確実とみられている。

 観客の男女比は男性69%・女性31%で、やはり男性からの熱烈な支持が顕著に表れている。18歳~34歳が全体の55%を占めるという年齢分布も、主に若年層からの人気が高いことを示すものだ。

 『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は批評家・観客の大きな支持を得ており、Rotten Tomatoesでは両スコアとも95%という高評価を獲得。出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価を獲得した。第4作ゆえに新規観客をどこまで呼び込めるかという課題はあるものの、口コミによる動員の増加は十分に狙えそうだ。

 『ジョン・ウィック』シリーズの第5作は現時点で未定だが、今後はアナ・デ・アルマスのスピンオフ映画『Ballerina(原題)』が待機中で、同作にはキアヌ・リーブスも出演する。そのほか、シリーズの前日譚となるドラマシリーズ「ザ・コンチネンタル(原題)」も2023年9月に北米配信予定だ。なお、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の日本公開は2023年9月。

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