ゴダール幻のアメリカ映画の記録 『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』4月22日公開決定

ゴダールのドキュメンタリー『1PM』公開決定

 1968年のジャン=リュック・ゴダールを捉えたドキュメンタリー映画『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』が、4月22日より新宿K's cinemaほかにて日本初公開されることが決定した。

 本作は、2022年9月13日に死去したゴダールが、1968年に渡米し、映画撮影した様子を記録したもの。1968年の秋、ゴダールは『1AM』という企画のため、アメリカ合衆国の反体制的な政治と文化の状況に目を向ける。カメラを回すのは、ダイレクト・シネマの旗手D・A・ペネベイカーとリチャード・リーコック。だが、ヌーヴェルヴァーグを牽引した末に商業映画と訣別するに至ったゴダールと、ドキュメンタリー映画界の革命児たちの共同作業は編集段階で頓挫してしまう。本作は、ゴダールが放棄したフッテージをペネベイカーが繋ぎ合わせて作った映画で、ブラックパンサー党のエルドリッジ・クリーヴァーの談話や、ジェファーソン・エアプレインの印象的なパフォーマンスも収められている。

 また、K’s cinemaでの上映期間中、1968年の五月革命を予見したゴダールの『中国女』がリバイバル上映されるほか、『中国女』を巡るゴダールのドキュメンタリー『ニューヨークの中国女』も初公開されることが決定した。

 『ニューヨークの中国女』は、アメリカにおいてゴダールの名声が頂点に達していた1968年に製作された。『中国女』の配給権を取得したリーコックとペネベイカーは、ゴダールが各地の大学を訪れる講演旅行を組織する。ニューヨーク大学の学生たちと、『中国女』をめぐって、流暢な英語で議論を交わす1968年4月4日の映画作家の姿を収めた本作は、当時のアメリカでゴダールが若者にどれほど強い関心を引き起こしていたのかを生き生きと伝えるドキュメンタリーである。

 『中国女』は、ゴダールの2番目の妻となるアンヌ・ヴィアゼムスキーを初めて起用し、夏のヴァカンスの最中にアパルトマンに集って毛沢東主義をはじめとする新左翼の思潮について勉強会をする若者たちの生態が描かれた。本作では、テロリズムによる暴力の是非をめぐる議論が真剣に交わされ、1968年の五月革命を予見したとも言われている。

■公開情報
『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』
4月22日(土)より、新宿・K’s cinemaほか全国順次公開
監督:D・A・ペネベイカー、リチャード・リーコック
撮影:ジャン=リュック・ゴダール、リチャード・リーコック、D・A・ペネベイカー
録音:ケイト・テイラー
編集:D・A・ペネベイカー
出演:ジャン=リュック・ゴダール、リップ・トーン、ルロイ・ジョーンズ、エルドリッジ・クリーヴァー、トム・ヘイドン、ジェファーソン・エアプレイン
1971年/アメリカ/カラー/90分/BD
©Pennebaker Hegedus Films / Jane Balfour Service

『ニューヨークの中国女』
監督:D・A・ペネベイカー、リチャード・リーコック
撮影:D・A・ペネベイカー、ジョン・クック
録音:ロバート・リーコック
編集:マーク・ウッドコック
出演:ジャン=リュック・ゴダールほか
1968年/アメリカ/モノクロ/41分/BD
©Pennebaker Hegedus Films / Jane Balfour Service

『中国女』
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウール・クタール
編集:アニエス・ギュモ
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオ、ミシェル・セメニアコ、レックス・デ・ブルイン、ジュリエット・ベルト、オマール・ディオップ、フランシス・ジャンソン、ブランディーヌ・ジャンソン
1967年/フランス/カラー/90分/BD
©Gaumont

配給:アダンソニア、ブロードウェイ
配給協力:ブライトホース・フィルム
字幕:寺尾次郎
デザイン:千葉健太郎
協力:仙元浩平

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