『舞いあがれ!』舞は社長としてリスタート 胸に迫る“章兄ちゃん”からの「頑張りや」

『舞いあがれ!』舞は社長としてリスタート

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第106話では、舞(福原遥)が御園(山口紗弥加)とともに新会社を立ち上げる。社名は「こんねくと」。大ちゃん(中須翔真)の「英語」という提案と祥子(高畑淳子)から起業祝いに送られてきたメジナから思い浮かんだ、五島弁で「おいで」の意味がある「こんね」と「コネクト」をかけ合わせたアイデアだ。

 東大阪の町工場の技術を活かした商品開発を行うのが事業内容となるが、舞や御園の目的は町工場同士を、さらには町工場と人とを繋げるところにある。一社が倒産すれば、町工場全体が少しづつ沈んでいく、今の現状を打開したかったのだ。工場を畳もうとしていた小堺(三谷昌登)の金網フェンスをハンモックにして次に繋げた成功体験は、今回の起業の大きな足がかりとなっているが、そう簡単に会社が軌道に乗るとは限らないだろう。

 舞の起業をシビアな目線で見つめるのが、投資家である悠人(横山裕)。利益計画、資金調達の甘さを指摘しながら、こんねくとをIWAKURAの子会社として立ち上げることを提案。そうすれば資金面でも、経営面でもリスクを下げられる。IWAKURAの営業を辞め、こんねくとの社長としてリスタートとなる舞には「お嬢さん」というイメージがいつまでも付き纏うかもしれないが、そこは社長としての手腕で払拭していくしかない。

 かつて「お手伝い」としてIWAKURAの社員からどこか白い目で見られていた舞も、今では頼れるリーダーとなった。山田(大浦千佳)は今でも舞を「お嬢さん」と呼んでいるものの、あくまで当時からの名残であり、イントネーションの変化からそこには親しみ、または敬意の念が垣間見える。筆者が特に印象的だったのは、結城(葵揚)が舞にかけた「頑張りや」の一言。笠巻(古舘寛治)がIWAKURAを退職した今、紆余曲折を経ながらも職人として最も古くから働いているのは結城であり、「章兄ちゃん」と呼んでいた舞の幼き頃を思い返すと胸に迫るものがある。「頑張りや」の笑顔には、舞を信頼するIWAKURAのいち職人として、そして章兄ちゃんとしての思いも込められているように思えた。

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