『警視庁アウトサイダー』最終話は意外な結末に 西島秀俊のストレートな言葉が染みる

『警視庁アウトサイダー』最終話は意外な結末

 異色トリオが再結集し、“想像していたのとは違う結末”が暴かれた『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)最終話。

 蓮見光輔(濱田岳)の父・梶間優人(神尾佑)の冤罪事件の犯人は、若手政治家のホープ・小山内雄一(斎藤工)ではなく、その妻・響子(青山倫子)だった。もともと、羽村(福士誠治)は歌川チカ(水崎綾女)の遺体に18箇所もの刺し傷があったことから、女性による強い憎悪が事件の裏にあるのではないかと予想していた。実際に響子はチカへの憎しみというよりも“何もできないと思われている無力な自分”への決別と、チカよりも夫を愛しているということの証明のために彼女のことをめった刺しにしたようだ。

 この真相への最後の1ピースを手にしていたのは、チカの息子・涼牙(小越勇輝)だった。彼が事件当時咄嗟に現場で手にしたオセロの駒に付着していた指紋が、響子のものと一致した。

 この決定的な証拠にたどり着く前、小山内から持ちかけられた交換条件に揺れ動く蓮見の葛藤がリアルだった。名前も経歴も別人になりすまし、自身の10年すべてをこの真相究明に費やしてきた蓮見。しかし、決定的な証拠がなく迫りくるタイムリミットもあり、最後の最後に事件の真相を闇に葬り去り、事件関係者の多くがお咎めなしとなる道を選ぼうとしてしまう。

 これに待ったをかけたのは、もちろん架川英児(西島秀俊)だ。真実を有耶無耶にして最大公約数的な利益のために、自身の核となる部分を相手に譲り渡してしまうこと。“日本の未来のために”という大きな主語の下に、誰かの何気ない日常が奪い去られてしまうのを暗に認めてしまうこと。それは有働弘樹(片岡愛之助)に土下座され、梶間が控訴を取り下げたことと同じだと。

「間違ったらごめんなさいだろうが。だから俺たちは失敗した人間を許せるんじゃねぇか」

 どうしてだろう、いつだって目的を見失わない架川のシンプルでどストレートな物言いはストンと心に響く。複雑に絡み合ったかに見える利権や思惑なんて一切お構いなしに、本来立ち返るべき場所がどこかはっきりとピン留めして見せてくれる。

 そして刑事・蓮見光輔として小山内に手錠をかけながら、梶間直人の心からの切なる願いを口にした濱田岳の圧巻の演技にも引き込まれた。

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