『舞いあがれ!』は言葉によって進んでいく物語 貴司が言い当てた陽菜の本心

『舞いあがれ!』は言葉によって進む物語

 「町工場どうしをつなげて新しいものを作りたい。作ったものを必要としてる人に届けて、町工場と人をつなげたい」と舞(福原遥)はめぐみ(永作博美)に話す。めぐみは「それは仕事になんの?」と率直な反応を返した。「社長としてはIWAKURAの仕事続けてほしい。そやけど母親としては、舞のやりたいことをやってほしいと思う」と本心を伝えた。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第105話では、デラシネを訪れた陽菜(徳網まゆ)が貴司(赤楚衛二)に悩みを打ち明けた。「言葉ってさ、こんなにいっぱい要らんくない?」という陽菜は、その理由を「中学入ってわかってんけど、みんなに合わせて『やばい』と『かわいい』と『キモい』だけ言うとったら、やっていけんねん」と説明。陽菜の言葉に違和感を覚えた貴司は「『キモい』ってそんなに言う?」とさりげなく聞き返した。

 「言うで。大ちゃんにも言うた」と陽菜。いつも一緒にいた大樹(中須翔真)と陽菜は中学に入ってから別行動で、原因となったのが学校でのやり取りだった。大樹の絵をクラスメイトが見つけて「キモい」と騒ぎ出し、自分もそれに乗ってしまったと陽菜は語る。大樹は言い返さず、2人の関係も気まずくなった。陽菜がこのところ顔を見せなかったのは、そんな理由があった。

「言葉がいっぱいあんのはな、自分の気持ちにぴったり来る言葉を見つけるためやで」

 貴司の言葉は陽菜の胸のうちを言い当てていた。「陽菜ちゃんの気持ちにぴったり来る言葉はどっちやろ? 会いたないんか、合わせる顔がないんか」。貴司はここで引き留めないと、陽菜と大樹は互いに誤解したまま離れてしまうと感じたのだろう。陽菜自身もそうしてもらいたがっているように見えた。貴司の言葉を陽菜は正面から受け止めたはずだ。

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